民主党は共産党と「心中」するのか

共産党系の市民団体が「来年の参院選で共産党を含む野党統一候補を支援する」と呼びかけたのに対して、民主党の岡田代表は、山形で「ぜひ連携したい」とコメントした。

しかしその山形選挙区では民主党の候補が立候補する予定で、共産党との候補者調整が難航している。こんな調子で全国32の1人区で民主・維新・社民などの統一候補を決めることは不可能だ。

それより重要な問題は、全野党がどんな政策協定を結ぶのかということだ。「安保法廃止」を掲げても、参議院では何もできない。おまけに共産は「全法案の廃案」を主張しているが、民主は一部の法案の修正を求めているだけだ。民主内でも、共産との連携に反対する勢力は多く、岡田代表が強行したら分裂するだろう。

そもそも共産党は「護憲の党」ではない。新憲法ができるとき、共産党は憲法第9条に「自衛のための戦力は必要だ」と反対し、1947年の綱領では憲法を改正して「人民民主主義憲法」で天皇制を廃止する方針を掲げた。

原水爆禁止運動でも、中ソの核実験に対して共産党系の原水協は「よい核兵器は容認する」との立場を取り、社会党系の原水禁と分裂した。マルクス・レーニン主義の立場では革命戦争は正義の戦争なので、否定していないのだ。したがって今でも、綱領では「戦争の放棄」も「平和主義」も明記していない。

共産党が全選挙区に候補を立ててきたのは、議会で政権を取るためではなく、選挙運動で党勢を拡大する「革命的議会主義」だ。いま彼らが候補者を減らすのは、党勢が衰えて全選挙区に立候補すると莫大な供託金が没収されるためで、他の党には何のメリットもない。共産党と組むことで増える票より、減る票のほうがはるかに多いだろう。

しかし岡田氏が「連携したい」というなら、彼と考えの同じ「民主左派」だけでも共産と合流してはどうだろうか。すべての1人区に共産や社民推薦の左派候補と、民主右派や維新などの候補が乱立したら、野党は前回を下回る惨敗になり、民主も解党を余儀なくされるだろう。日本の政治を変えるには、それぐらいのガラガラポンが必要だ。

今の野党に、政権を担える党は一つもない。来年ダブル選挙になり、民主が共産と心中して全滅すれば、自民・公明・おおさか維新で両院の2/3を超え、憲法改正が可能になるかもしれない。今年の国会のような些末な解釈論ではなく、憲法改正を論じることこそ、国会の最大の機能である。