参院選前150日の勝負、通常国会の見どころは? --- 選挙ドットコム

kokkai
通常国会(150日間)が1月4日、召集された。国会法改正で「毎年1月中の召集」となった1992年以降、最も早い開会である。今年は夏に参院選があるため会期延長は想定されにくく、会期末の6月1日に閉会する見通しだ。参院選の投開票日は7月10日が有力視されており、勝負は150日間に限られているといえる。

大型法案なし、GW前には店じまい


昨年の通常国会は、「安全保障関連法」という戦後最大級の〝与野党激突型〟法案に明け暮れたが、今年は予算案以外の大型法案はTPP(環太平洋経済連携協定)協定案、関連の国内法改正案ぐらいしかない。

しかも、3月末(もしくは4月上旬)までは、予算審議が優先されるため、与野党がTPPをめぐって本格対決するとしても4月中旬以降となる。TPPは米国内の手続きが進まない限り、日本の手続きも進まない事情があるので、TPPをめぐる議論が白熱する環境にはない。

軽減税率に関する法改正もメニューに入っているが、自民、公明両党が圧倒的多数を握る現状では審議はすんなりと進む。安保法のように野党が身体を張って「大暴れ」する局面は皆無だろう。国会審議における与野党の攻防は局地的なものに終わるとみていい。

加えて、5月下旬の伊勢志摩サミットを合わせて考えれば、今年の通常国会は、実質的には5月の大型連休前に店じまいに入る。連休が終われば永田町は選挙モードだ。

「パンティー」大臣は?


国会を盛り上げるスキャンダル追及では、高木毅復興担当相の「女性下着窃盗疑惑」は依然くすぶっているが、この問題に対する世論の反応は鈍い。高木氏の辞任説は根強いが、辞めたとしても「安倍政権へのダメージは限定的」(永田町事情通)とみられている。高木氏の知名度の低さに助けられている側面もありそうだ。

それでも、政治資金の問題や醜聞、スキャンダルは突然〝炸裂〟するのが政界の常である。選挙を控えた年だけに何が起こるかわからない。大型法案、対決法案、世論を二分する話題に乏しいだけに、新たなスキャンダルが出てくれば必要以上にクローズアップされるかもしれない。

野党は結集するしかない


イマイチ盛り上がりに欠けそうな国会だが、あえて「みどころ」を挙げるとすれば、「バラバラの野党がどうやって巨大与党に挑むのか」しかない。

民主党と維新の党は昨年12月、統一会派を結成した。巨大与党に対抗するための動きだが、国民へのアピール不足は否めない。

現下の野党の最大の問題は(特に民主党)、2万円近い株価を維持する安倍政権を追及するための〝理論武装〟が不完全な点だ。ついつい相手の土俵に乗ってしまい、経済政策の「善し悪し」という各論で攻めてしまう悪いクセを早急に直さないといけない。例えば、民主党が強調する「再配分」重視は各論でしかない。もっと大きな「ビジョン」「対立軸」、すなわち「どういう社会をつくるのか」といった理念を掲げないと、巨大与党には立ち向かえない。

小沢一郎氏は今年1月1日、私邸での新年会で「野合で何が悪い」とぶち上げ、なりふり構わない野党結集の必要性を訴えた。正しい主張である。

ただ、野党結集のためには「ビジョン」「対立軸」が不可欠だ。小沢氏ももちろんわかっているはずだが、困難な作業であることは間違いない。国会審議を通じ、その辺りの議論に民主、維新両党が本気で取り組むかどうかがポイントである。

安倍首相に有利な衆参ダブル選も現実味を帯びてきた。
野党の未来は正直言って暗い。だからこそ、野党の奮起がみどころになるような国会審議を期待したい。

永田一郎


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編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2016年1月4日の記事『参院選前150日の勝負、通常国会は野党の奮起が見どころ!?』を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。