やっぱりダブル選 !? 東西2つの改憲記事で占う


どうも新田です。これを書きながら、NHKの時論公論スペシャル版を見ていたのですが、日曜討論の司会でおなじみの島田敏男解説委員が、その口ぶりからダブル選挙があることを確信したかのような発言をしていて、「お、おう…そこまで踏み込むね」(汗)と思ったところです。

まあ、もちろん、仮に解散するにしても総理ご本人はギリギリまで言わないのは当然なわけですが、メディアが面白がってダブル選挙をぶち上げて世論が作られていく。総理や菅さんが再三否定しても、自民党内も野党も浮き足立って勝手に「あるある」というムードが漂う中で、主導権はすっかり官邸がガッチリ握ってしまってますね。NHKのベテラン解説委員まで、このムーブメントに乗っかっているあたり、実際にダブル選挙やらなくても、政治的効果としてはもう十分な威力を発揮していますよ、こりゃ。PR的視点でいえば、空気は出来上がってます。

ちなみに、サンデー毎日で鈴木哲夫さんが書いておられるように、自民は意外に苦戦するのではという世論調査データも出回っているようですが、各党の有名人候補者のハンティング活動は続いていますし、参院東京選挙区なぞは自民の2人目すら決まっていないわけですから、現時点の調査など穿った見方をすれば政権サイドの「引き締め」材料に使われるだけでしかなく、本番はここからですね、という感じです。

ダブル選挙があるかどうか、安倍さんがマジで憲法改正に着手するかどうかシンプルにその動きを見ていけばいいわけですが、拙著「ネットで人生棒に振りかけた!」で書いたように、複数の新聞記事照覧をしてみると、それなりの示唆もあります。

注目したのは前回の元旦各紙一面特ダネ比較で紹介した、毎日新聞の記事。安倍政権が緊急事態条項を突破口にできる限り多くの党の賛同を得て改憲に踏み出すシナリオがあるとのこと。

改憲へ緊急事態条項 議員任期特例 安倍政権方針
安倍政権は、大規模災害を想定した「緊急事態条項」の追加を憲法改正の出発点にする方針を固めた。特に衆院選が災害と重なった場合、国会に議員の「空白」が生じるため、特例で任期延長を認める必要があると判断した。与野党を超えて合意を得やすいという期待もある。安倍晋三首相は今年夏の参院選の結果、参院で改憲勢力の議席が3分の2を超えることを前提に、2018年9月までの任期中に改憲の実現を目指す。
http://mainichi.jp/articles/20160101/k00/00m/010/070000c

この記事のキモは、同日に載ってた解説にあるように政権サイドに“お試し改憲”の思惑があることなわけです。

憲法改正:透ける「お試し改憲」 緊急事態条項、他党支持得やすく
安倍晋三首相は、今年夏の参院選後、憲法改正論議を活発化させたい考えだ。野党でも「おおさか維新の会」が改憲で首相に協力する方針を鮮明にしており、首相側には「緊急事態条項」の追加なら各党の支持を得やすいという読みがある。
http://mainichi.jp/articles/20160101/ddm/002/010/024000c

ふふーん、それでどうなるんだろうと思っていたら、昨日大阪の方からこんな報道が流れてきました。読売新聞のきのう昼過ぎのニュースから。

橋下前代表中心に改憲草案作成へ…おおさか維新
おおさか維新の会の松井一郎代表(大阪府知事)は4日、今夏の参院選に向け、党独自の憲法改正草案の作成に着手する方針を明らかにした。
内容は、統治機構改革や地方分権の分野に限定するとしている。1月半ばに党内に松井氏をトップとする「戦略本部会議」を設置し、前代表の橋下徹法律政策顧問を中心に議論を始める予定。(16年1月4日 13時38分)

 ※下線は筆者

東の安倍さんは緊急事態条項から、西の橋下さんは統治機構・地方分権の分野から、とそれぞれ違う切り口から限定的に改憲の提議をしているところがもう裏で握っている感満載で、おかしくなってくるほどです。

改憲に向けたコンテンツづくりだけでなく、世論形成のシナリオを描いているはずですが、大阪で年始早々にこの構想が突如、正式発表されたあたり、年の瀬の間に東西で、参院選までに至るシナリオやスケジュールのすり合わせとおおよその展望を終わっているとみて間違いないわけです。12月19日に安倍・菅—橋下・松井会談が都内で行われているわけですが、その中身の触りについて、安倍政権に特に食い込んでいる政治記者の一人である東京新聞の長谷川さんが書いておられます。

今回の会談は、官房長官によれば、橋下氏が安倍首相に憲法改正などについて意見を聞いたという話になっている。真相はうかがい知れないが、政治家同士はほんの一言二言のやりとりだけでも「すべてを了解できる」独特の間合いがある。あうんの呼吸というやつだ。これは、だれか第三者が解説できるような代物ではない。(現代ビジネス15年12月25日「長谷川幸洋 ニュースの深層」※太線は筆者)

 

まあ、「憲法改正など」の「など」が選挙を睨んだ政治情勢の意見交換とかなんでしょうけど(笑)改憲ネタは方便ではなかったどころか、ダブル選挙のテコとしてガチの話だった可能性もあります。総理がダブル選挙を断行するか、まだまだ政治情勢、世論を睨みながらの状況ではあるでしょうが、年末から年始にかけての政治記事をヲチしていると、今更ながら、永田町の動きばかりに目をとらわれていると、展望を見誤るなという思いを新たにした国会初日でありました。ではでは。


新田 哲史
アゴラ編集長/ソーシャルアナリスト
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