バブルは二度はじける。
これが、私の一番重要だと思うバブルへの洞察だ。
一度目はなんとかしのぐ。二度目はもう耐え切れない。みなが逃げ出す。
問題は、今度が、昨年の8月に続く二度目なのかどうか。
リーマンショックの一度目は2007年8月のパリバショック。これですべての投資家は次は終わりだと身構えた。売れるものは売った。しかし、パリバショックで証券化商品は凍りつき、もう逃げられなかったから、崩壊が出来るだけ先であることを願い続けていただけだった。時限爆弾のタイマーが遅れるか、あわよくば壊れるのを願っただけだった。
日本の1989年末ピークのバブルもそうだ。いったん収まったかに見え、その後大暴落となった。
問題は、今回のバブルはそれほど巨大なものではない、ということだ。
リーマンショックのイメージが残っている中では、バブルといってもたかが知れている。金融当局も、中央銀行はバブルを膨らませたが、銀行監督当局は、イギリスはもっともシビアに、米国も十分に、日本もそれに続いて、きちんと対応してきた。厳しすぎるという不満があるほどに。当然BISも厳しく、どうせ次のBISも現実的でないから、どこかで緩むだろう、という投資家たちの期待はあるものの、厳しい姿勢を維持してきた。日本はもともと金融機関のバブルはないし、その意図もないから、英米の流れ、BISの流れに対応する程度の厳しさだが、地銀などへの対応、日本国債というローカルで大きな問題について準備をしてきた。
だから、銀行が大きく巻き込まれない以上、今回のバブル崩壊は、影響はリーマンなどとは比べる必要はない。
ただし、リスク資産市場の内部では、明らかなバブル崩壊だ。
原油も株も下がる。
日本は為替の影響が大きいが、これは正常化だ。望ましい。
株価の下落も、今のところは仕方ないレベル。調整ともいえる。ただし、15000円を割り込むようなら、ややオーバーシュートという懸念が出てくるだろう。
問題は、国債市場の正常化で、正常化は望ましいが、正常化すると部分的には大きな危機となる、ということだ。
日銀は、不用意な動きをせずに、アウェイの戦いを耐えてほしい。
政治も同じだ。次の選挙は、経済では戦えない。あれだけ、アベノミクスで勝ったのだから、次もアベノミクスで勝とうというのは虫が良すぎる。アウェイの戦いで、静かに着実に勝てばよい。今の野党の情勢なら、それで十分だろう。
消費税引き上げ延期は、ゲームを壊すリスクがある。目先の選挙は勝つかもしれないが、日本経済のアキレス腱は日本国債市場の正常化だから、消費税引き上げ延期は、その引き金を引く可能性がある以上、絶対に避けるべきだ。安倍政権の更なる継続のためにこそ、消費税は引き上げたほうが安全だ。