アジア太平洋各地で選挙の年 --- 松田 公太


▲選挙イヤーの幕開けとなる台湾総統選(選管サイトより)


今年2016年は環太平洋の各国で国政選挙がある年です。

近いところでは、台湾で元首を決める総統選挙と一院制の議会・立法院の選挙があります。投票日は今月16日。現職の馬英九総統(国民党)は2期8年務めていますが、3選禁止の憲法規定のため、次の選挙には出馬できません。現在、野党・民進党の蔡英文主席が与党・国民党の朱立倫主席を大幅リードと報じられており、8年ぶりの政権交代の可能性があります。蔡氏が勝利すれば台湾史上初めての女性総統です。

韓国でも4月に国会の総選挙があります(かつて二院制の時代もありましたが現在は一院になっています)。現在、与党「セヌリ党」が定数300のうち156議席。それに対し、最大野党の「共に民主党」では昨年12月に安哲秀(アン・チョルス)前共同代表が離党。北朝鮮の核実験が与党を利するという見方もありますが、与野党それぞれ党内紛争があると報じられており、選挙に向けてさらなる動きがありそうです。

フィリピンでも5月に大統領選挙です。汚職撲滅や財政再建を掲げるポー上院議員が最有力でしたが、昨年12月、ポー氏が大統領候補の条件「国内10年間居住」を満たしていないという理由で、選挙管理委員会が資格停止を発表(ただし異議申立が認められて候補に復活する可能性もあります)。現状では、アキノ大統領が後継指名したロハス前自治相と、野党連合の支援を受け親中派とされるビナイ副大統領、そしてドゥテルテ前ダバオ市長の3候補の混戦になっています。

そして、アメリカでは今年11月に大統領選挙があります(同時に、合衆国議会の下院全議席と上院の3分の1を対象とする選挙もあります)。

現在、民主党・共和党それぞれで大統領候補選びを進めているところで、各陣営は全米各州で支持拡大をめぐって激しく戦っています。スーパーチューズデー(今年は3月1日)に多くの州の予備選挙・党員集会で両党の候補が選ばれ、党内での大勢が決するのが通例ですが、8年前民主党オバマ候補・クリントン候補で激しく争ったときのように、両党が候補者を指名する7月の全国大会の直前までもつれることもあります。現在のところ民主党はヒラリー・クリントン元国務長官、共和党は不動産王のドナルド・トランプ氏が有力と報じられていますが、これからの運動次第で情勢が変わる可能性もあります。

そして、日本も7月に参院選ですね。「18歳投票権」が始まる歴史的な選挙です 。安倍総理は憲法改正の発議に必要な3分の2の勢力を参議院で獲得すると言い始めました。衆議院解散が同時期に行なわれてダブル選挙になるという自民党議員の声も複数上がっています。

各国の議論で注目すべきはTPP。大筋合意している米国だけでなく、今後の参加に向けた動きのある台・韓・比の状況も、我が国における承認手続に大きな影響を及ぼすものとして注目していきたいと思います。

また、忘れてはならないのは外交・防衛政策についてです。昨日もイスタンブールで自爆テロがありましたが、IS問題やサウジアラビアとイランの国交断絶などにより混迷を深める中東情勢や、北朝鮮の核実験、中国による南沙諸島埋め立てなど国際状況が緊張感を高めていますが、それぞれの国でどのような立場を持つ政党が政権を担うのか目を離せません。

これらは参院選でも大きな争点にしていかなければなりませんが、周辺諸外国での議論も念頭に置いて検討する必要があります。皆さんも是非、世界に目を向けて、その中で日本はどうしていくべきかを一緒に考えて頂ければと思います。



編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2016年1月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。