「評論家」と「リスクテイカー」の間にある大きな違い --- 内藤 忍


昨年の2月2日にオープンした「SHINOBY`S BAR 銀座」が来月開店1周年を迎えます。素人がお店の経営を始めるまでの顛末は「銀座で素人が始めたファンが続々と生まれる看板のないワインバーの仕組み」という長いタイトルの本に書きましたが、1年経って痛感することは「評論家」と「リスクテイカー」の間には大きな違いがあるということです。

食べ歩きをして、お店のコメントを書いている人は私を含め素人からプロの書き手までたくさんいます。私もレストランや居酒屋に行って食事をすると、飲食コンサルタントのような視点でお店を観察して、どこが良いのか、どこを改善すべきなのかを勝手に考えてしまう習慣が身についてしまいました。

しかし、ここで考えなければいけないことは、自分がダメだししているポイントというのは、飽くまで「評論家」としての視点に過ぎないということです。実名で勝負しているプロの批評家は別かもしれませんが、素人評論家というのは批判はしても、自分はリスクを取りません。安全な場所からコメントしているだけの、都合の良いポジションです。

お店を経営するという「リスクテイカー」になってわかったことは、出来上がったものを評論するのは簡単だけど、それを自分で再現するのは極めて難しいということです。

例えば、内装のセンスについてコメントしたくなるようなお店があったりします。しかし、その内装をゼロから作る立場に自分がいたとしたら、それより良いものを作れるのか。出来上がったものをあれこれ批評するのは簡単ですが、それを何も無いところから作り上げるのは大きなエネルギーが必要なのです。

自分はできないくせに、安全な場所から上から目線で批判だけしている「評論家」になっていたことが、何だか恥ずかしくなりました。

SHINOBY`S BAR 銀座も当初はワインバーという業態でしたが、優秀な料理人が入って、食事が充実し、今ではほとんどのお客様がプリフィックスのコース(グラスシャンパーニュ付4800円税別)を注文するビストロのようなお店になってきました。

お店の経営方針やワインの品揃え、営業時間、スタッフの確保など様々な難問が降りかかる中で、試行錯誤をして昨年後半に月間の最高売上を達成することができました。まだ、立ち上がったばかりですが、リスクテイカーとして、ようやく手ごたえを掴めてきたような気がします。

2月1日と2日は私もお店にいて、皆さまに1周年の感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。特別なサービスもご用意していますので、是非お越しください(混雑が予想されますので、ご予約をお薦めいたします)。

SHINOBY`S BAR銀座
東京都 中央区銀座5-10-10 6階
03-6280-6757
営業は平日17:00~23:00

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年1月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。