車椅子に乗ってバリアフリー調査隊に参加してきた

こんにちは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
以前に都議会議事堂に訪ねて来て下さった株式会社ミライロの方々にお誘いいただき、


バリアフリー情報共有アプリ「Bremen」(4月ローンチ予定!)
http://bremen-maps.jp/

の情報を集める調査隊の活動に、斉藤りえ区議と共に参加させていただきました。

このアプリは飲食店や公共施設など様々な場所を

・入り口はフラット(バリアフリー対応)か
・車いす対応のトイレはあるか
・補助犬に対応しているか
・店員のユニバーサルマナーは適切か

など19の観点から評価・登録し、障害者のみならず外国人・高齢者・子連れの方など様々な人への有益な情報提供を目的とするものです。

今日はミライロ代表の垣内さん、昭和女子大学の学生さんたちとチームを組んで、偶然にも私のホームグランドである高田馬場駅周辺を車椅子で実際に行動し、店舗などにもお邪魔してバリアフリー情報の収集にチャレンジすることに。

これまで車椅子バスケや車椅子フェンシングにも挑戦し、少しばかりこの分野には理解のある政治家のつもりでしたが、やはり実際に街に出てみると大違いというやつでした…。

意気揚々と高田馬場周辺に繰り出すわたし。
しかし、普段は何気なく歩いていたこの通学路、実は坂だらけだったんですね…上りも下りも地味にキツイ!

最初にお願いして調査をさせていただいた施設は、通り沿いにある思い出の某名画座。

入り口こそスロープ&手すりで問題なく入れたものの、いざ中でトイレに入ろうとしてみると…

まず引き戸じゃなくてこうした「開き戸」は車椅子の天敵です!
押しながら・引きながら入るというのは、なかなか難易度が高いです。
さらに…

デデーン

なんと!車椅子の幅として通過ができませんでした。。

「入り口はバリアフリーだけど、中に入ると車椅子での行動が難しい」

というお店はコンビニや薬局でもけっこうあって、

こんな感じに。
うーん、惜しい。。

それと車椅子で行動してみてわかるのは、「なんちゃってバリアフリー対応」のお店が多いこと。

こういう「急な段差に急なスロープをつけただけ」では、介助なしで自力で車椅子者が入店することは困難です。こういうのはむしろ、バリアフリーというより業者の搬入用に設置しているのかもしれませんが…。

そしてスロープや段差があると、その先にあるドアの形状が

「引き戸か、開き戸か」
「自動ドアか、押しボタン式の自動ドアか」

などで、大きく入店へのハードルが変わることもわかりました。

段差やスロープをクリアしながら「自動ドアのボタンを押す」というのは、実に至難の技。
失敗すれば車椅子がガラスの扉にガッツンです。一見合理的に見える押しボタン式の自動ドアに、このような欠点があったとは…

こうした「段差+普通の自動ドア」も、ドアまでの距離が充分にないと、自動ドアの反応が鈍かった場合は乗り越えた瞬間に車椅子のタイヤなどが扉に接触してしまいます。

そして前述のように「開き戸」は基本的に車椅子と相性が悪いのですが、このようなスロープと組み合わさるとさらに厄介です。
車椅子を安定させながら扉を引くのは、自力ではかなりの難易度。

単純にスロープ化しただけでは、利用者目線の真のバリアフリーとはならないことが、改めて痛感されました。

そして調査の途中で垣内代表から余談として聞いたのですが、バリアフリー対応の最も進んだ娯楽施設の一つが「カラオケ店」なんだそうです。

ボウリングやテニスなどの娯楽に行くのが難しい身体障害者、あるいは視覚障害者などは団体でカラオケを利用することが多く、こうしたニーズを受けて業界全体で対応が進んでいるとのこと。

実際に中を調査させていただいた「カラオケ館」は、エントランスが完全フラットなのはもちろんのこと、一階にあるトイレも完璧。
洗面台の下に空間を設けることで、車椅子者でもしっかりと洗面台に手が届きます。

エレベーターには、きちんと鏡も完備。
この鏡って実は、車椅子の方が後方確認するためのものなんですよ。
皆さん、知ってました?!

参考:エレベーターに鏡がある理由、知ってますか?:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASHDS5SDFHDSUEHF010.html

視覚障害者の利用者が多いため、お会計も電子マネーに完璧に対応しています。
(視覚障害者は、お札などを数えられないため電子マネーを好む)

とはいえ、カラオケ店すべてがバリアフリーに完全に対応できているわけでは決してなく、

近隣のカラオケの鉄人さんは入り口が階段、一般用にはエレベーターもなく車椅子入店が不可能でした…

その他にも、駅の券売機はほぼ100%車椅子者は利用できないことや、

手が届かないし、角度的に液晶が見えません…
銀行のATMも同様。

先程も述べましたが、台の下に充分な空間がないと、車椅子からは手を伸ばしても届かないのです。

こうした様々な体験・調査を終えた後は、すべての班が集まってフィードバックと発表会。

「企業も社会的貢献として、バリアフリー対応をもっと進めるべき」
「消費者は、そうした企業の商品や施設を積極的に購入・利用しては?」
「行政は補助金を出す、道路の道幅を広げるなど積極的に投資をして欲しい」

など、多くの方が初めて車椅子で街を行動してみて、学生さんを中心に活発な意見交換が行われました。

もちろん企業・行政がさらに投資を行い、物理的な障壁を取り除くのが大事なことは言うまでもありません。
一方で恐らく、それだけでは真のバリアフリー社会の実現は不可能です。

車椅子で世界各国を旅する友人が言っておりましたが、

「物理的には、日本ほどバリアフリーが進んでいる国はない」

そうです。
しかしながら、福祉先進諸国に比べて行動に制約を感じることもある、と。
それはやはり、人々の意識とそこからにじみ出る行動の差なのでしょう。

例えば我々が車椅子で入店実験をしている横で、平然とスロープの前に違法駐輪していく人がおりました。
きっとその方は

「スロープ自体に触れていなければ、大丈夫だろう」

と考えたのだと思います。
しかし車椅子の幅を考えれば、これでは通過することができません。
こうしたちょっとした「想像力」が、我々には決定的に不足しているのではないでしょうか。

物理的なインフラ整備には、どうしても限界があります。
まさに都も進めている「心のバリアフリー」に重なるところですが、支援を必要とする方に対して、適度な行動・対応が自然と出てくるような意識を醸成していかなければなりません。

さすがにこんな風に側溝に落ちていれば、誰か助けてくれるでしょうが(笑)、ある班ではインド料理屋の前で入り口を確認しようとした時に、サッと中からインド人の方が出てきて助けてくれようとして、感動したそうです。

こうしたアプリの開発などをきっかけに、多くの人が「バリアフリー」ということに本当の意味での実感を持ち、2020年に向けて官民双方からアクションが起こることを支援していきたいと思います。

アプリ「Bremen」は今年4月にローンチ予定!
引き続き調査隊の活動は続いていくようですので、ご興味のある方はぜひチェックして、実際に参加してみてくださいね^^

Bremenの調査隊
http://ur0.pw/qsHC

貴重な機会をいただいた株式会社ミライロの垣内代表を始めとする皆さま、本当にありがとうございました!

それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。

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