儀式化した東京都の復活予算要望

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
ほとんど議会公務がない1月に唯一あるのが、「復活予算要望」の提出です。


現在、地方自治体は予算編成の時期ですが、

「巨額の予算を行政サイドだけで決めることは不健全である」
「民意の代表者である議員たちにも、差配できる余地を残すべきだ」

という思想から各会派から200億円ほどのリクエストを募り、最終的な予算案に反映させるという制度です。

詳細はけっこう気合入れて書いた昨年の記事をば↓

茶番か、儀式か?それともはたまた…。「復活予算要望」枠200億円を、ゼロ円で要望してみました
http://otokitashun.com/blog/togikai/5824/

んで私どもの会派も一昨日、副知事あてにいくつかの項目を
復活要望として提出しておりまして、今日その結果が発表されました。

…まあ昨年もツッコミましたが、200億円もの予算を差配するのに検討期間が短すぎです。

なぜこんな神業が可能かと言えば、この復活予算要望が限りなく出来レースだからです。
昨年度の復活予算と、今年の復活予算を見比べてみましょう。

【今年(平成29年度案)】

【昨年(平成28年度案)】

データ引用元

はい、細かくて読む気は起きないと思いますが、

②「福祉・保健・医療の充実」にある新規事業5つ(昨年は4つ)
③教育の充実にある新規事業1つ

以外の項目は、完璧にすべて一緒
これはここ数年間、ほとんど変わっていないようです。

そして唯一の変更点とも言える新規事業にしても、項目を見てみれば昨年度の事業の延長線かつ、

「ああ、あの会派(政党)の要望だろうなぁ…」

とだいたいわかるものばかりで、会派の規模によってねじ込める「枠」が割り振られているようです。

つまり、形骸化している項目に毎年数字を乗せながら、大きな会派にパフォーマンスのための枠を提供しているということですね。。

毎年毎年項目が一緒ということは、我々も復活予算要望をパフォーマンスに利用しようと思えば、これらの項目とまったく同じものを要求して

「なんと我が会派の要求が、100%すべて通りました!!

と言えてしまうのです。
それはそれで行政側へプレッシャーになりそうだから、来年やってみようかな。笑
いや、けっこう本気で

形骸化しているとはいえ数字のつじつま合わせや、記者発表資料の作成やら大きな行政コストが発生していますから、こうした儀式をいつまでも続けていくことは大いに疑問です。

昨年も言及した通り、国政ではこの復活予算要望のシステムは、民主党政権時代に「無駄!」ということで廃止されています。(あの時代の数少ない功績の一つと言えるでしょう…)

都議会でも旧態依然とした儀式を合理化できるよう、提言を続けていきたいと思います。このままの制度だったら、来年100%要望を通しますからね?!

それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。

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