外国人留学生の就労支援を行っている団体が「外国人「日本で働きたい」2割のみ 留学生支援団体調査」というニュースをリリースしていました。衝撃的な内容として紹介されている人もいましたが、私はというと「当然じゃないの?」としか思えませんでした。
「イメージが先行している部分もあるが、企業はまず改善に努める必要がある」と書かれているのですが、イメージ先行というよりもイメージそのままな部分が日本企業には多くあります。最も顕著な例が外国人研修制度でしょう。農業、繊維、自動車など、さまざまな産業で使われている制度ですが、
- パスポートを取り上げて自由に行動出来ないようにする。
- 最低賃金を下回る少ない報酬しか与えない
- 「強制送還させる」と脅す
など、実際に事件として起こっており、国連や諸外国から問題視されています。
外国人研修制度は極端な例かもしれません。しかし実際に日本で起こっている極端な実態でなくても、日本の企業に対するイメージとして
- 序列が強い
- 男性支配的
- 残業が多い
と言った答えが90%以上返ってきているそうです。実際、女性のガラスの天井、M字キャリアカーブの問題からみても男性支配的ですし、残業が多いために過労死するという事件は後を絶たず出てきます。序列が強いのも言うまでもないでしょう。
これらのアンケートに答えた外国人留学生は、日本に来て日本の職場の実態をかなり正確に把握していると言えるのではないでしょうか。だからこそ2割しか日本で働くことに魅力を感じないというわけです。加えてグローバル人材は引く手あまたであり、かつ働く国を自ら選ぶ事ができるだけの能力を持った人材が多くいます。働く場所を選ぶ主導権は労働者側にあるのがグローバル人材ですから、日本を選んで欲しいなら日本の労働環境が変わるしかありません。
今回のニュースを見聞きして、私も「もし自分が日本人ではなかったら」と考えてみるきっかけになりました。結論として、私は日本で働きたい!と思わないでしょう。日本人だから、日本に生まれたから日本で働くという選択をしているだけに過ぎません。メキシコ人に生まれて海外で働けるなら、おそらくアメリカで働きたいと思うでしょう。トルコで生まれて海外で働けるなら、ドイツに働きに行きたいと思うと思います。
海外で生まれて様々な国へ働きに出かけられるというお金と人脈、そして権利があったとしても日本は選択肢には上がってこないと思います。お隣の国である中国・韓国で生まれたとしても、日本で働くよりも欧米で働きたいと思うのではないか?と想像します。
日本は少子高齢化で労働力不足叫ばれています。IT業界も人材不足の会社ばかりですし、飲食店や小売店も都心部では時給が高騰するほど人材不足です。ですが残念ながら日本の労働環境は外から見れば全く魅力的に移っていないために、海外からの労働力はさほど期待出来ない状況です。
アゴラをご覧の皆さんも、もし海外で生まれ育っていたら日本に働きに来たいと思いますか?