「公私一致」という働き方 --- 井上 貴至

昨年4月に、長島大陸に赴任して以来、ほとんど休んでいない。でも、それが辛いとか、しんどいかというと、そんなことは全くない。

むしろ、霞が関で働いていた頃よりも、はるかに長く睡眠時間を取っている。副町長という立場は、常に高度な判断が求められる。頭をクリアにするため、意識して、睡眠や休養はしっかりとるようにしている

本を読んだり、遊びに行ったり、人と会ったり・・・肩の力を抜いて過ごしている時も、ふとした時に「これは、長島大陸で生かせそう」とか「長島大陸に置き換えたら、こうなるな」ということを考える。

たぶん頭のどこかで、常に長島大陸のことを考えているのだろう。そういう意味で、ほとんど休んでいないといえる。それは、今の仕事が楽しくて楽しくて仕方がないから。まさに、「天職(calling)」と受け止めている。

近代経済学では、産業革命以降の工場労働者を想定して、
●労働=苦痛
●余暇=楽
というように、労働と余暇を完全に分離して、余暇の時間をいかに増やすかについて考えてきた。しかし、時代の進展とともに、その考え方には、様々なほころびが出てきた。そのほころびを解消するため、様々な提案がなされたが、しょせんは労働と余暇を分離した枠の中での話であり、根本的な解決には至らなかった。

楽しくて楽しくて仕方ないから「私」が自然と「公」につながる「公私一致」という働き方は、労働と余暇を分離する近代の限界を乗り越え、新しい時代の働き方の指針になるだろう。「公私一致」という働き方では、「公」で求められていることと、「私」がやりたいこと・「私」ができることが一致するからこそ、大きな力が発揮される。

成熟した今の日本社会では、高度経済成長期のように労働時間をかければかけるほど成果があがるわけでもない。にもかかわらず、旧来の労働と余暇を分離した枠の中で、ある人は(成果が出ないから)ますます労働の時間を増やし(場合によっては過剰な労働で心や体を痛め)、ある人は余暇に逃げて、いずれも本来の力がうまく発揮されていないのではないだろうか。

だからこそ、私は、長島大陸での実践を通じて、「公私一致」という新しい働き方を社会に広めていきたい。そして、楽しさと充実感の中で、ひとりひとりが力を発揮できる社会を作っていきたい

大きな夢だが、夢は大きな方が面白いではないか。
皆さんも、一緒に夢を叶える仲間になりませんか。 


<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68458684.html


編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年1月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。