【続報】ロッテの株主構成が韓国で公表

新田 哲史


どうも新田です。私の場合、お口の恋人はチョコじゃなくてポテチです。お家騒動になってしまったロッテグループの続報です=写真はWikipediaより、東京・西新宿のロッテ本社=。日本ではあまり報道されていないようですが、「循環出資」と言われる複雑怪奇な株主構成について、きのう1日、韓国当局の調査結果が公表されたそうです。

中央日報が事細かい数字を載せておりますが、一言で要約すると、創業者の重光武雄会長一族が、注目の「光潤社」の株の9割近くを持っていることが確認されました。ロッテマニアの方ならご案内のとおり、同社は、日本のロッテHDの筆頭株主。そして同HDは、韓国ロッテグループの中核企業であるロッテホテルの筆頭株主という構造です。経営権争いが勃発した当時から韓国国内では、「ロッテは日本の会社なのか?韓国の会社なのか?」と世論の厳しい問いかけがされておりましたが、公取幹部のコメントも報じられております。

公取委のクァク・セブン競争政策局長は、「総帥一家は光潤社などを通じてロッテホールディングスを支配し、ロッテホールディングスはさらに別の日本の系列会社とともにホテルロッテのような韓国の主要系列会社を直接支配する構造」と説明した。(中央日報 2016年02月02日09時13分)

このあたりは向こうでも想定はされていたでしょうが、何かと日本嫌いの民族性に一度火がついたこともあり、失墜したブランドの回復はまだまだ途上でしょう。なお、もう一つの注目は、ここ数年来の「長男」陣営 VS「次男」陣営による骨肉のプロキシーファイトの結果、グループ内の関連会社を、互いにどこまで抑えていたのか、その株主構成にこそ注目が集まったのですが・・・

クァク局長は「海外系列会社情報は情報公開法に基づいて公開しなくてはならず、個人情報や営業秘密は公開できないよう(法律で)定められている」と説明した。公取委はロッテの海外系列会社問題を契機に公正取引法を改正することにした。

と、まあ彼の国の法的事情で持ち越しとなりました。しかし、法改正後はこのあたり開示されるでしょうし、株式所有の現況について虚偽申告・公示があったとして、韓国の公取が近く制裁するようです。一方で、日本国内では昨年末に、長男が、次男サイド(日本ロッテ)に対し、6億の損害賠償を求めた民事訴訟を起こしており、今後も係争するようであれば、今後、世論の硬化(というよりあきれ返り)しかねないのではないでしょうか。

ロッテグループ、争う姿勢=創業者長男、報酬6億円請求-東京地裁
ロッテホールディングス(HD)とグループ各社の役員を不当に解任されたとして、創業者長男の重光宏之前HD副会長がグループ4社に、任期満了までの役員報酬分に当たる計約6億2000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が24日、東京地裁(小野寺真也裁判長)であった。4社側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。(時事通信15年12月24日)

まあ、長男サイドもさすがに経営復帰が難しいことは本音では分かっているはずで、ひょっとすると、事実上の「ゴールデン・パラシュート」狙いで、裁判という形である種の条件闘争に持ち込もうとする魂胆もあるのかもしれませんが、野球シーズンが始まる頃には劇的な和解とかが見られるんでしょうか。次男さんが潔く韓国側の制裁を受け、上場によりグループ経営の近代化を推し進めるにしても、日本で係争中となれば、韓国の世論はもちろん、日本での印象も好転しないのではと思われます。
ではでは。

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新田 哲史
アゴラ編集長/ソーシャルアナリスト
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