選挙ドットコム編集部では、2016年の参議院選挙に向けて、選挙ドットコムが保有する日本最大の選挙データベースから、過去の参議院選挙、衆議院選挙、そしてここ3年の地方選挙の結果等を分析し、世論調査の結果を加味した独自の議席予想を行いました。
【選挙区分析】
・1人区(32選挙区)
参議院選挙の勝敗を決定づける1人区では、岩手・沖縄を除く30の選挙区で自民党候補が優勢。合区となった島根・鳥取、高知・徳島も、自民分裂がなければ安定勝利か。
・2人区 4選挙区
2人区では自民・民主で議席を分け合う形が予想されるが、注目は前回2013年の参院選で、自民・共産が議席を獲得した京都選挙区。2月に行われる京都市長選挙の結果も影響か。
・3人区 5選挙区
北海道、千葉では自民が2議席を獲得する見込み。埼玉、福岡では自民・民主・公明で議席を分け合う。兵庫では自民・公明が2議席をおさえ、最後の1議席を民主とおおさか維新が争う展開と予想。
・4人区 3選挙区 6人区 1選挙区
神奈川は自民、民主、公明で3議席を確保し、最後の1議席は自民推薦の無所属か。大阪では、自民・公明・おおさか維新が3議席を確保し、最後の1議席を民主・共産・おおさか維新で争う展開。おおさか維新が2議席をとれるかどうかに注目。今回から定数4となった愛知は、3人区であった2010年に民主が2議席を獲得している。まだ候補が出揃っていないが、自民・民主の2人目やおおさか維新の候補にも議席獲得の可能性があり混戦模様。
定数が6となった東京選挙区も、同じく候補者が出揃っていないが、自民2議席・民主・公明・共産が1議席を獲得する見込み。残る1議席を、おおさか維新か無所属の候補が争う展開か。
【比例区分析】
比例区でも自民党の一強は揺るがない。2010年の参議院選挙は、民主党政権の時代であり、自民党は野党であった。今回は全国的に票を持つ組織の自民党回帰が見られ、自民党の比例候補は充実している。さらに政権の高い支持率を拝啓に、無党派層を取り込める著名人候補を立てることで、議席を伸ばすと予想。
公明党は毎回の選挙で確実に議席を獲得しており、今回も前回並みの獲得議席となる見通し。
民主党は選挙区で苦戦を強いられるが、全国比例では候補者数、組織ともに野党では頭一つ抜けており、多少は自民批判票の受け皿として機能する可能性がある。
維新の党は比例区で議席を獲得できる目処は立たない。
共産党は躍進した2013年7月時よりも政党支持率は伸びており、昨年4月の統一地方選挙においても躍進。自民党一強時代において、確かな野党として存在感を発揮しそうだ。
おおさか維新は、統一地方選挙でも結果を残した関西で一定の比例票を獲得すると予想。鍵を握るのは橋下徹氏の動向。橋下氏が参議院選挙にどう関わるかによって、獲得議席は変動する。
社民党、生活の党、日本の心を大切にする党、新党改革など存在感のない小政党は比例で議席を獲得できない。
◯野党共闘で選挙結果は変わるか
32ある1人区を細かく見ていくと、野党共闘によって与党候補に野党候補が勝てる可能性のある選挙区も存在する。ただし、共産党が候補者擁立を見送るだけで、民主候補が自民候補を上回れるほど単純ではない。共産党と組むことによって無党派層の票が離れる可能性もあり、野党共闘の「顔」の存在などがなければ大きな風は起こらないと考えられる。
◯第3極の消滅
2010年、2013年の参議院選挙で一定の議席を獲得していたみんなの党の解党、維新の党の分裂によって第3極を支持していた票はどこへ行くのか。編集部が独自に分析した結果では、自民党・おおさか維新・共産党へ流れ、民主党へはほとんど流れていなかった。第3極は、民主党という第2極への批判から生まれたものであるため、支持層が民主党へは投票しないという結果になったのではないかと考えられる。
◯注目の18歳選挙権の影響は限定的
18歳・19歳の有権者数は全国で約240万人だが、2013年参院選における20~24歳の投票率は31.18%で、全年齢平均を20%以上下回る。仮に18~19歳の投票率が同程度であった場合、約75万票が新たに投じられると推測されるが、全投票者に占める割合は少なく、かつ18~19歳に強く支持される政党はないことから、選挙戦への影響は限定的。
◯投票率は前回を下回る
1990年代以降、参議院選挙の投票率が60%を超えたことは一度もなく、過去2回の選挙でも投票率は下降傾向になる。昨年4月の統一地方選挙でも全国的に投票率は下がっており、大きな争点もなく自民一強のまま、野党共闘など枠組みが変わる動きがすすまなければ、前回52.61%を下回ると予想される。
選挙ドットコムでは今後も参議院選挙の議席獲得予測、全選挙区の当落予測を行いますのでご期待ください。
選挙ドットコム編集部
編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2016年2月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。