ALSの飲み薬、くしゃみや唾液に生命をおびやかされる? --- 恩田 聖敬


先週ブログに書いた点滴の記事が、思った以上に反響がありましたので、今日は点滴以外の飲み薬について書こうと思います。飲んでいるのは、錠剤とカプセルです。

朝:5種類6錠
昼:1種類1錠
夜:5種類6錠

結構飲むんです(笑)朝は特に喉の筋肉が寝ているので、相当注意して飲まないとむせてしまいます。毎朝、ヘルパーさんは真剣に私に薬を飲ませます。最近は飲むためのお茶にとろみをつけました。私の喉の、気管支と食道を仕分ける弁は、筋肉の衰えのため通常の液体の通過スピードに対応できず、誤飲を起こすリスクが高いからです。
もう慣れましたが、とろみのついたお茶は美味しいとは言えません(笑)

では、どんな薬なのでしょうか?

⑴ALSの進行を遅らせる薬
治すのでは無く、遅らせる作用です。直接的にALSに対する薬はこれだけです。診断を受けた日からずっと飲み続けています。

⑵筋肉のこわばりをとる薬
筋肉が痙攣したり、色々な場所がつるという症状を抑える薬です。ちょっとだけ身体を動かした拍子に、両足がつるようなこともあります。薬は2種類あり、1種類は唾液を抑制する効果があります。唾液もむせを引き起こす厄介なものです。夜中に唾液がたれ込み、一晩中咳き込んでいることも珍しくありません。

⑶花粉症の薬2種類
ALSの患者に取って死活問題です。というのも、私はまだなんとか歩けていた頃、くしゃみのショックでバランスを崩して転倒しました。くしゃみの反作用に耐えられる体幹がないのです。さすがに哀しかったです。

くしゃみや唾液のような、病気になる前は何の意識もしてないものに苦しめられながらも、このように薬にも助けてもらい、生活してます。
恩田聖敬


恩田 聖敬(おんだ・さとし)
1978年(昭和53年)岐阜県生まれ。京都大学大学院卒業後、2004年複合レジャー施設「JJ CLUB 100」を運営するネクストジャパンに入社。2009年には取締役就任。その後グループ会社であるアドアーズの常務取締役として全国のゲームセンター店舗を回り、希望退職を実施し、大規模な改革を行う。親会社のJトラストでM&A等を担当した後、14年4月に岐阜フットボールクラブの代表取締役社長に就任。サービス業の経験と、会社管理の経験をフルに活かし、サッカービジネスにエンターテイメントの要素を導入も、社長就任と同時にALS(筋委縮性側索硬化症)を発症。病を公表後も社長業を続投したが、15年11月末の公式リーグ最終戦を以って病の進行により、止む無く社長を辞任。


この記事は、岐阜フットボールクラブ前社長、恩田聖敬氏のブログ「片道切符社長のその後の目的地は? 」2016年2月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。