「組体操」と「クラス合唱」の教育的観点を考察 --- 恩田 聖敬

私は高校及び大学生活を「合唱」に捧げた男です。大学においては、京大合唱団(混声)の歌い手として、そして京都大学男声合唱団の学生指揮者として活動していました。のめり込み過ぎて留年しちゃいました(笑)それだけの価値が、当時の私にはあったのです。

しかしながら、合唱というものは世間一般に市民権を得ているとは言い難く、内輪で盛り上がっているという現状です。何故合唱の魅力が伝わらないのか?それは、皆さんも一度は経験済みのいわゆる「クラス合唱」のせいです。
クラスの一体感を醸成するという教育目的が多分に含まれたのが「クラス合唱」だと思います。最近、危険だと物議になっている運動会の「組体操」と目的はかなり近いと思います。組体操は感動を呼び、クラス合唱は負のイメージを残すのはどうしてでしょうか?
組体操は「成功」が分かり易く定義出来ます。崩れなければ成功です。先生も生徒もゴールイメージを共有出来るので、練習から本番までモチベーションを作りやすいです。
一方クラス合唱は、そもそも思春期の生徒に大きな声で歌わせることがハードル高い上に、音楽の先生でもない限り、合唱の技術的な指導は出来ません。更に辛いのは、合唱は技術的に一定水準に達しないと気持ち良さを体感出来ないのです。
だから、成功を感じることなく、良く分からないけど歌わされた印象しか残らないのです。下手な合唱より、ひとりカラオケの方が気持ちいいです。
そういう訳で、クラス合唱で一体感を作りたいと思うなら、しかるべき指導者を準備下さい。そうなれば、合唱がもう少しメジャーになると思います(笑)
合唱(音楽)というものはさまざまなものを描きます。私は男声合唱特有の水墨画のようなモノトーンの世界が大好きでした。人の心を描きたく指揮を振っていました。音楽の持つ力を実感できるところまで、音楽に触れられて幸せでした。
恩田聖敬

恩田 聖敬(おんだ・さとし)
1978年(昭和53年)岐阜県生まれ。京都大学大学院卒業後、2004年複合レジャー施設「JJ CLUB 100」を運営するネクストジャパンに入社。2009年には取締役就任。その後グループ会社であるアドアーズの常務取締役として全国のゲームセンター店舗を回り、希望退職を実施し、大規模な改革を行う。親会社のJトラストでM&A等を担当した後、14年4月に岐阜フットボールクラブの代表取締役社長に就任。サービス業の経験と、会社管理の経験をフルに活かし、サッカービジネスにエンターテイメントの要素を導入も、社長就任と同時にALS(筋委縮性側索硬化症)を発症。病を公表後も社長業を続投したが、15年11月末の公式リーグ最終戦を以って病の進行により、止む無く社長を辞任。


この記事は、岐阜フットボールクラブ前社長、恩田聖敬氏のブログ「片道切符社長のその後の目的地は? 」2016年3月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。