ミニ・スーパーチューズデーが米国の現地時間15日に実施され民主党はヒラリー・クリントン候補、共和党はドナルド・トランプ候補とトップランナーが勝利しました。以下の数字は、RealClearPoliticsから参照し、日本時間の16日午後9時40分時点となります。
▽フロリダ州
(共和党、代議員数99で勝者総取り方式)
1位 トランプ 45.8%
2位 ルビオ 27.0%
3位 クルーズ 17.1%
4位 ケーシック 6.8%
(民主党)
1位 クリントン 64.5%
2位 サンダース 33.3%
▽オハイオ州
(共和党、代議員数66で勝者総取り方式)
1位 ケーシック 46.8%
2位 トランプ 35.7%
3位 クルーズ 13.1%
4位 ルビオ 2.9%
(民主党)
1位 クリントン 56.5%
2位 サンダース 42.7%
▽イリノイ州
(共和党、代議員数69で勝者総取り方式)
1位 トランプ 38.8%
2位 ルビオ 30.3%
3位 クルーズ 19.7%
4位 ケーシック 8.7%
(民主党)
1位 クリントン 50.5%
2位 サンダース 48.7%
▽ミズーリ州
(共和党、代議員数52で首位が50%超えなら勝者総取り方式)
1位 トランプ 40.8%
2位 ルビオ 40.6%
3位 クルーズ 10.1%
4位 ケーシック 6.1%
(民主党)
1位 クリントン 49.6%
2位 サンダース 49.4%
▽ノースカロライナ州
(共和党、代議員数72で比例方式)
1位 トランプ 40.2%
2位 クルーズ 36.8%
3位 ケーシック 12.7%
4位 ルビオ 7.7%
(民主党)
1位 クリントン 54.6%
2位 サンダース 40.8%
民主党はクリントン候補でほぼ決まりというわけで、混迷する共和党に焦点を移します。
フロリダ州の完全敗北を受けて、マルコ・ルビオ候補は撤退を発表しました。共和党候補は3人に絞られた格好です。とはいえ、ジョン・ケーシック候補はオハイオ州で勝利するのみ。ルビオ候補の票がまわったとしても、トランプ候補どころかテッド・クルーズ候補を追撃できるか大いに疑問が残ります。
共和党内での支持表明も、ケーシック候補は9名(3月15日時点)で突出しているとは言えません。実はフィリバスターで2013年秋の政府機関閉鎖の一因を作り、超保守派のクルーズ候補が最多で、30人に及ぶんですね。ただルビオ候補に集まった67名のほか、ブッシュ候補支持派がケーシック候補にまわる可能性が高まります。主流派がケーシック候補をエンドースしたとしても、米議会への支持率が底ばい状態であり予備選に恩恵を与えるとは想定しづらい。ただ、仮にトランプ候補が共和党の大統領候補に正式指名された場合、主流派が副大統領候補として押すシナリオも考えられます。
米議会支持率、過去最低の9%にほど近い14%。
もしケーシック候補が善戦するなどトランプ候補の躍進を阻止できた場合、共和党大会が開催される7月18~21日までにいずれの候補も獲得代議員数で過半数の1237に到達しないケースが浮上します。その場合は、どうなるのでしょうか?
第1回目の投票では、予備選や党員集会に沿った投票となりますが、ブローカー・コンベンションでのフロア・ファイト(談合)を経て第2回の投票が行われる段階で別の候補を擁立する可能性が生じます。2012年の共和党大統領候補だったミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事のほか、ポール・ライアン米下院議長(大統領候補に推す政治団体にライアン議長は活動停止を求め、側近も否定)などの名前が、既に挙がっていますよね。そうなった場合、著名エコノミストいわく「共和党の分裂を招き二大政党制が終焉を告げる」リスクすら、否定できないとか。米大統領選とともに米上下院の改選もあるだけに、主流派が第三勢力の道を模索する余地を残します。
ちなみに、トランプ候補が独立派として米大統領選に出馬しないと誓約したとはいえ状況次第では捨てきれない。仮に党大会後に第三の道を選ぶならば、大きな障害が立ちはだかります。独立候補として登録する締切に間に合わない可能性が横たわるのですよ。つまりスイング・ステーツであるノースカロライナ州(6月9日、選挙人数15)をはじめネバダ州(7月8日、選挙人数6)、フロリダ州(7月15日、選挙人数29)、オクラホマ州(7月15日、選挙人数18)、及びレッド・ステートの大票田であるテキサス州(5月9日、選挙人数38)で登録不可となり、本選で戦う権利を失うことになります。
トランプ候補は共和党のエースとなるのか、ジョーカーに転じるのか?今後の予備選で、アメリカ人がどの方向性が導き出すのか目が離せません。
(カバー写真:Mr. Gray/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年3月16日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。