NYタイムズのドナルド・トランプへのインタビューが話題になっている。日本に関連する部分を引用すると、次のように言っている:
He also said he would be open to allowing Japan and South Korea to build their own nuclear arsenals rather than depend on the American nuclear umbrella for their protection against North Korea and China.
And he said he would be willing to withdraw United States forces from both Japan and South Korea if they did not substantially increase their contributions to the costs of housing and feeding those troops.
これは彼個人の特異な意見ではない。これまでの予備選で彼はこういう孤立主義を繰り返し公言し、アメリカの兵力と予算を「自国の国益に沿うものに限って使う」と主張して、圧倒的な支持を得てきた。それは共和党だけの主張ではなく、私が昨年のVlogでも紹介したように、オバマ大統領の対外的消極主義を受け継ぐものだ。
これは今に始まった話ではなく、アメリカのモンロー主義の伝統への回帰ともいえる。これは単なる孤立主義ではなく、南北アメリカ大陸は入植した白人の支配地域であり、アメリカがヨーロッパの紛争に介入しない代わりに、ヨーロッパは中南米の独立運動に介入するなという相互不干渉の主張だった。
第1次大戦後、ウッドロー・ウィルソンはこうした国際協調の欠如が世界大戦を招いたと考えて国際連盟を創設したが、米議会が承認しなかった。彼は演説でしばしば「もし今キリストがわれわれの立場にいたら何をしただろうか」と問いかけ、みずからを救世主と考えたが、国際関係でそういう理想主義が機能しないことは第2次大戦で証明された。
これにこりて第2次大戦後は、アメリカが「世界の警察」の役割を果たしてきたが、これに対する国内の反対も根強く、オバマ大統領は「われわれは世界の警察であるべきではない」と明言した。だから「トランプはどうせ大統領にならないから無視していい」というのは誤りだ。細野豪志氏はこう書いている:
「ヒラリー大統領なら、日米同盟に揺らぎはない」というのは甘い見方で、彼女もTPPに反対している。日米同盟は、アメリカが血を流すのに対して、日本は基地を提供するだけの片務的な軍事同盟であり、アメリカは日本にも国際的な防衛責任の肩代わりを求めてきた。それに少しでも応じようというのが安保法制である。
細野氏が「日米同盟は戦後最大の外交資産だ」というなら、民進党はなぜ安保法制に反対しているのか。こういう野党の姿勢は、アメリカの孤立主義をますます強めるだろう。日本が恐れるべきなのは「地球の裏側の戦争に巻き込まれる」リスクではなく、北朝鮮の政権が不安定化し、中国の軍事的プレゼンスが増すアジアからアメリカが撤退するリスクなのだ。