【映画評】ミラクル・ニール!

渡 まち子

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遥か銀河系の彼方で、エイリアンたちは地球を下等惑星とみなし、滅亡を企んでいた。しかし銀河系にも法律があり、地球人に一度だけチャンスを与えなければならない。無作為に選んだ人物に全知全能のパワーを授け、その知性と判断力を観察するのだ。選ばれたのは、ロンドンに住む学校教師のニール。だがニールは、愛犬デニスと会話したり、思いを寄せるキャサリンに「自分を好きになれ」と命じたり、自分勝手なことにばかりパワーを使う。それを見たエイリアンは、地球は救うに値しないと判断し、破壊のカウントダウンが始まる。はたしてニールは地球を救えるのだろうか…?!

知らない間に地球の命運を託された主人公の奮闘を描くSFコメディー「ミラクル・ニール!」。英国の伝説的なコメディー・グループのモンティ・パイソンのメンバーが再集結しているというだけでもワクワクするのに、現代の英国映画界を代表するコメディー俳優にして、ハリウッド大作でも活躍するサイモン・ペッグ、さらには、惜しくもこの世を去った名優ロビン・ウィリアムズが主人公の愛犬の声を担当するとなれば、もはや本作はコメディー界のレジェンドと呼んでもさしつかえないだろう。

だが物語は一言で言うと、しょーもない話だ。そこがまたいい。全知全能のパワーなど小市民にとっては重荷でしかないのだから、愛犬デニスと下品な会話をしたり、死人を生き返らせてゾンビだらけになり慌てたりと、くだらないことや自分勝手なマネばかりするのも、当然なのだ。だがニールが思いを寄せる美女キャサリンの窮地を救うため、初めて自分ではなく他人のためにパワーを使うことになるあたりから、物語はちょっぴりヒロイックになってくる。しかしあくまでもブラックでシュールな演出は変わらない。ニールが地球を救えるのかどうかは映画を見て、確かめてほしいが、予想外の重責にとまどう主人公と愛犬の奮闘ぶりは、実に愛らしくて憎めない。本作で声の出演をはたしたロビン・ウィリアムズの、これが本当に遺作なのだと思うと、どうしようもなくセンチメンタルな気分になる。
【65点】
(原題「ABSOLUTELY ANYTHING」)
(イギリス/テリー・ジョーンズ監督/サイモン・ペッグ、ケイト・ベッキンセール、(声)ロビン・ウィリアムズ、他)
(シュール度:★★★★☆)

この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年4月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。