共産党は「憲法を守る党」なのか

菅官房長官が、街頭演説で珍しく「自衛隊と日米安保を否定する共産党で日本が守れるのか」と共産党を批判した。これに対して共産党は「自衛隊は当面活用する」と意味不明な反論をしている。

しかし共産党の目的は、この綱領にも明らかなように革命である。革命とは定義によって現在の国家体制を転覆するものであり、憲法を守る革命などというものはありえない。共産党の「2段階革命」では、第1段階でブルジョア革命をやり、その次に共産主義革命をやることになっている。

その第1段階の「民主主義革命」でさえ、安保条約の廃棄自衛隊の段階的解消天皇制の廃止が明記されているが、憲法を守ったまま天皇制はなくせるのか。その後の共産革命では憲法を改正して「革命軍」を創設し、中国と軍事同盟を組むのか。こうした革命の目標を隠したまま、ポスターに「9条守り抜く」などと書いているのは欺瞞である。

これに対して民進党は、どういう政策協定を結ぶのか。自衛隊は解消し、安保条約も廃棄するのか。それともそういう政策は曖昧にしたまま、「戦争法の廃止」などという政策の名にも値しない空想だけで共産党と一致して、有権者をごまかせると思っているのか。

野党の党勢が衰えると、声の大きい活動家の影響力が相対的に増し、「左バネ」が働くことが多い。かつての社会党も「長期低落」といわれるようになってから、総評や社会主義協会などの左派が社共共闘に傾き、右派を排除して自滅した。

今度の補欠選挙では北海道5区は与野党が互角だといわれるが、これは北海道の特殊事情だ。民進党が共産党との政策協定もないまま、参議院選挙でも無原則な「民共共闘」をやるなら、自民党にとってはダブル選挙で野党を全滅させる絶好のチャンスになるだろう。