「オアシス」再結成の日は来るか

英国の伝説的なロックバンド(Britpop)「オアシス」のシンガ―ソングライターだったノエル・ギャラガーが率いるロックバンド「ハイ・フライング・バーズ」は12日、ウィーンのガソメーター(Gasometer)でコンサートを開いた。ノエル一行は欧州コンサート・ツアーのさなか。ウィーンの前日はスイスのチューリヒで、14日にはドイツのミュンヘンでコンサートを控えているといった具合だ。


▲ウィーンのコンサートで歌うノエル(2016年4月12日、ウィーンのGasometerで撮影)

ウィーンのコンサートには約2500人のファンが集まった。「オアシス」時代の曲と新曲を混ぜて20曲を一気に歌った。ノエルのコンサートの前座には米国のロックバンド「Augustines」が担当した。

ノエルが舞台に登場すると「ノエル、ノエル」の大喝采がファンから飛び出した。第1曲は「オアシス」解散後作曲した新曲「Evrybody‘ On The Run」を披露。新曲と懐かしい「オアシス」時代の曲を歌い終え、舞台から去った。

ファンのアンコールに応じ、舞台に再び上がると、ノエルは笑顔で「僕のチームが今夜勝ったんだ」とファンに報告した後、「オアシス」時代の大ヒット曲「「Don’t  Look Back in Anger」など3曲を気分良く歌って、2時間余りのコンサートを閉じた。

ノエルは小さい時から英プレミアリーグのサッカーチーム「マンチャスター・シテイFC」の大ファンだ。シティFCが今夜、「パリ・サンジェルマン」と対戦で1対0で勝利、チャンピオンリーグ(CL)の準決勝進出が決まったのだ。ノエルは嬉しかったのだろう。最後に歌った「Don’t Look back in anger」は気分が乗っていた。

ビートルズ後のBritpopの後継者といわれた「オアシス」は世界的なヒット曲を次々と発表した。ヒット曲のほとんどはノエルが作曲し、弟のリアム・ギャラガーがボーカルを主に担当した。

アイルランド系の労働者家庭出身のギャラガー兄弟のロックバンド「オアシス」は1991年に結成され、2009年に解散したが、その原因はノエルとリアムの兄弟関係がうまくいかなくなったからといわれている。

末っ子で5歳違いの弟リアムとは「オアシス」時代からたびたび衝突してきた。リアムがコンサートを突然キャンセルして姿を消すなど、リアムの奇行にノエルは頭を痛めることが多かったことは事実だ。

母親が工場で遅くまで仕事をしなければならない時、幼いころのリアム少年は2人の兄が留守で独りで母親の帰りを待っていた時、寂しくなって母親が働いている工場まで泣きながら走っていった、というエピソードが伝わっている。当方はそのリアムが作曲した「Songbird」が大好きだ。リアムの心の世界が伝わってくる。

ノエルは「昔と比べ、ロックバンドも経済的に厳しくなった」と吐露している。多くのファンはアルバムを買わなくても簡単に音楽をコピーできる。だから、ロックグループはコンサートを頻繁に開いて収入を確保しなければならない。ファンはスターと直接に接する機会が増えるからハッピーだが、長い間家庭を留守にしなければならないコンサート・ツアーはバンド・メンバーにとって時として大変だという。

難しいことは知っているが、ノエル・リアムのギャラガ―兄弟が「オアシス」を再結成し、その素晴らしい音楽を披露してくれることを願っている。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2016年4月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。