海外不動産をローンで投資する場合のメリットと注意点

海外不動産投資は、海外での借り入れ金利が高く、手続が煩雑であることから現金購入が原則でした。自己資金をある程度保有している投資家しか、海外不動産は購入できないというのが今までの常識でしたが、この流れが変わりつつあります。

その1つが政策系金融機関である日本政策金融公庫が提供する中小企業・小規模事業者のための事業資金融資制度です。この制度には不動産賃貸業の創業も借入可能な業種として認められ、固定金利で2%以下という低金利で借入可能なようです。

ただし、借入には事業計画書に基づく審査があるようですから、通常の不動産投資ローンの手続とは異なるノウハウが必要になります。

そして、注意しなければならないのが、借入通貨が円になるということです。バランスシートの左が外貨、右が円になりますから、円高になると債務が膨らみ、返済残高が資産を上回る可能性もあります。逆に円安になれば、借入負担が減って、資産が増えるというメリットが出てきます。

また、新興国のコンドミニアムの中には、購入価格の80%程度のファイアンスをパッケージにした商品も検討されているという話を聞きました。

2000万円の物件であれば、頭金400万円で購入でき、残りの1600万円は円で借入します。借入期間は8年程度で、その間に借入金額の半分(800万円)を賃貸収入を充てて元利均等返済していきます。ローン満期時に1200万円以上で売却できれば、頭金と残債を差し引いてもプラスのリターンになる計算です。

この場合も借入通貨は円になりますから、為替リスクがあることに注意すべきです。

年初から円高が進み、これから海外不動産に投資をする人にとっては、現地価格は上がっていても、為替を考慮すれば価格面で魅力が出てきました。

政策金融公庫のファイナンスを活用した、海外不動産投資に関しては、5月15日の大阪でのセミナーでもご紹介する予定ですが、東京でもいずれ同様のセミナーを開催する予定です。具体的な日程が決まったらメールマガジンでお知らせします。

※毎週金曜日に配信している「資産デザイン研究所メール」。資産を守り増やすためのヒントから、具体的な投資のアイディア、そしてグルメな情報まで、メールアドレスを登録するだけで無料でお届けします。

※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年4月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

 

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。