TPP審議の先送り?

松田 公太

政府・与党が、TPPの承認案と関連法案について、今国会での成立を見送る方向で調整に入ったとの報道が出ています。

これらは先週5日に審議入りしたばかりですが、政府提出資料がほとんど黒塗りで情報開示が不十分であったこと、その一方で衆院TPP特別委員会・西川公也委員長が出版しようとしている著書が交渉の内容に触れた内幕本だったこと等を巡り会議が紛糾。

実のある議論はまだ始まってもいません。このような状況で、本当に先送りにしてしまって良いのでしょうか?

選挙に影響させたくないから先延ばしという考えであれば、国益よりも党利党略を優先させたということになりますので、非常に残念です。

私は元々TPPに賛成ですが、これが日本にとってプラスになるかは制度設計にかかっています。

承認案と関連法案をしっかりと審議し、国益の最大化という観点から法整備を進めていく必要があります。安倍総理が言っている通り、「国家100年の計」となりますので、スタートでつまずくことのないよう、そして経済だけでなく文化・政治の成長につながるよう、議論を尽くす必要があります。

政府・与党は実質的な審議ができるよう情報開示を行い、TPPに「限定して」質問するという条件で交渉担当だった甘利前大臣を招致し、野党も政策論争に集中する。

そのような形で特別委員会を開催し、議論を行っていかないと、結局は安保法案の時のように混乱とパフォーマンスの中で全てが進められてしまうことになりかねません。


編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2016年4月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。

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松田 公太
講談社
2016-01-15