デジタル・リマスターって何?

渡 まち子

今日はちょっとレビューは休憩して、ひとりごと風に。

古い映画がデジタル・リマスター版としてよみがえる。最近、よく聞くでしょ。で、デジタル・リマスターって、そもそも何?!ってことで、ちょっとだけお話します。

デジタル・リマスターとは、ごく簡単に言うと、フィルムに記録されている映像をデジタル・データに変換し、劣化を取り除いてきれいに見やすくすること。音声データも同時に修復する場合が多いです。映像の中に映っている汚れやゴミを取り除くのは多くは手作業で行っているので、大変な労力なのですが、おかげで私たちは、古い名画を美しい状態で見ることができるんです。ありがたい!

さらにいえば、デジタル・リマスターの中で、地デジやブルーレイなどで採用されている高精細度なHD画質でデジタル化され、処理が行われたものをHDリマスターと呼びます。

ただ、デジタル・メディアは規格がコロコロ変わるデメリットもあって、長期間にわたりフォーマットが変わらないフィルムこそが映画に最適だという意見も。何よりも、フィルムにしか出せない抒情性(じょじょうせい)というのは捨てがたいものがあります。

それでも、近年、続々と過去の名作がデジタル・リマスター版としてよみがえっているのは、単にきれいにするだけでなく、フィルムの劣化から映画を守り、次世代に向けて、正確に記録、保存していこうという意図でしょう。

これから公開されるデンマーク映画「バベットの晩餐会」(1987)や西部劇の名作「シェーン」(1953)も、デジタル・リマスター版。この機会に、ぜひスクリーンで美しくクリアになった名作をどうぞ!

ステファーヌ・オードラン
紀伊國屋書店
2011-11-26

 



この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年4月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。