Backstreet’s Back, Alright♪
なんて、90年代ポップの名曲が頭をよぎってしまいます。そう、アルゼンチンが15年ぶりに債券市場へカムバックを果たしたのですよ。
かつては、どこへ行っても彼らの曲を耳にしたものです。
(出所:Roberta Baker/Flickr)
投資家は待ってしたとばかりに、アルゼンチン国債へ殺到していきました。150億ドルの新発債に対し、入札額は650億ドル以上に達したといいますから、驚くばかり。そのうち10年債の表面利率は7.5〜7.625%で、事前予想以下と人気の高さが伺えます。トルコ10年債利回りの9.15%以下とは、ご立派ですよね。30年債の表面利率は8%と、インドの30年国債利回りの7.8%に近い水準に収まりました。2001年に約100億ドルもの債務不履行(デフォルト)に陥った国とは、到底思えません。
発行額の規模は、ギリシャが債務問題を経て国債を再発行した2014年当時の30億ユーロ(3720億円、34億ドル)と比較しても段違いです。大胆極まりない起債でしたが、超低金利時代を迎え市場関係者の”利回りを求める(Hunt for yield)”姿勢が鮮明に現れた結果と言えるでしょう。
国際通貨基金(IMF)の最新版世界経済見通しでのアルゼンチンは、以下の通り。
実質成長率
2015年 1.2%増
2016年 マイナス1.0%
2017年予 2.8%増
消費者物価指数(CPI)
2015年 5.0%の上昇
2017年 19.9%の上昇
経常赤字(GDP比)
2015年 2.8%
2016年 1.7%
2017年 2.2%
失業率
2015年 6.5%
2016年 7.8%
2017年 7.4%
CPIはともかく、弾劾されたルーセフ大統領率いるブラジルより希望が持てる数字です。12年続いた反米左派政権時代が幕を閉じ、中道右派のマクリ政権が誕生してから4ヵ月半に外貨規制を緩和するなど抜本的な改革を行った実績も、投資家を惹き付けたに違いありません。アルゼンチンのブエノスアイレスが名実ともに「南米のパリ」として存在感を放つかは、財政規律を保ちつつ、いかに経済拡大を促進できるかに掛かってくることでしょう。
(カバー写真:Mauricio Macri/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年4月19日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。