今日から三日間、政策法務についての研修です。
議員の仕事は議案の採決や質問をすることですが、今回は条例制定のための実務を学びにきました。
そもそも、議会には主に二つの性質があります。
まず、チェック機能として、行政の仕事が適切に行われているかを質問します。
細かいところまで調査されている議員もいらっしゃり、聞いていると勉強になります。
次に、政策立案機能があげられますが、実質的に行政が担っています。
新宿区役所には約3,000名の職員がいます。
増大する予算は約2,000億円。
新宿区議会38名の議員+議会事務局に対して、役所のほうが強大な権限を持っているようにも思えますが、だからこそ議会の政策立案力強化が必要です。
ここ10年間の新宿区議会の議員提案条例を見ると、制定されたものは政治倫理条例や議会での手続きを決めるもののみで、政策を実行することを目的とした条例制定は行われていません。
もちろん、公式の議会ではないところで議員の意見が反映されていることはあると思います。
しかし、あくまで行政の補完的要素が強く、議会が主体となり、議員間討議を行い条例を提出するという機能も必要です。
また、共産党さんが条例案を提案されていますが、否決されています。
もちろん提出することも大切だと思いますが、議員間討議を行い合意形成をとることが重要です。
新宿区議会には38名の議員がいますが、各議員の想いや支持母体はバラバラです。
合意形成を取ることはハードルが高いと思いますが、議会基本条例の制定により議員間討議を行うなど、議会改革を進めていくべきです。
また、国政の場合は政策秘書や、法制局など立法を支援する機能がありますが、地方議会の場合は基本的には何もありません。
例えば議会事務局の機能を強化し、地方版法制局のような窓口が必要です。
この窓口を通じて、条例制定の実務支援はもちろん、現場で仕事をする行政と協議することで、現実的な条例へと発展させていくことが可能になります。
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人口減少社会では、これまでの財政支出の拡大に依存した問題解決は通用しません。
もちろん、議会の持つ情報や能力は「官」のほうが優れているという見方もあるでしょう。
それは「官」のシナリオの上で議論をしているからであり、「民」のことは役所よりも詳しいはずです。
これまでの役所主体の政策立案から脱却し、将来世代のことを踏まえた「民」視点の新たな政策立案が求められています。
私一人では条例を提出することができないため、議会改革に関連する委員会などを通じて重要性を訴えてまいります。
初日は座学が中心で、各自治体における条例制定の事例や法令用語を学びました。
明日は終日条例案を作成する演習ですが、頑張ります。
それでは本日はこの辺で。
伊藤陽平 東京都新宿区議会議員
http://itoyohei.com/
プロフィール 1987年12月22日生まれ、28歳。立教大学経済学部経済政策学科卒業。2015年4月の区議選で最年少当選。