『増補新版 イスラーム世界の論じ方』

『増補新版 イスラーム世界の論じ方』5月6日発売です。昨日見本を手に取りました。頁が120頁近く増えました。旧版425頁→増補新版533頁。でもそんなに重くありません。索引も付けました。旧版はそのまま全部入っていて、8篇加えて、値段はそのままの2,600円。

街の書店では連休中には棚に並ばなそうなので(本屋さんに届いても、そうすぐには荷解きをして並べてくれないのが普通のようです)、たぶんアマゾンが一番早そうです。

池内 恵
中央公論新社
2016-05-06

 

旧版が出てから、イスラーム世界で実に多くのことがありました。この本で示しておいた「論じ方」は役に立ったでしょうか。

増補新版では、シャルリー・エブド事件、パリ同時多発テロ事件についての論考も収録してあります。旧版との連続性と発展を読んでいただければと思います。

長い論文としては、「イスラーム世界における律法主義と霊性主義」。大昔に東大駒場の1・2年向けに講義したもの。共著論文集に入っていましたが、絶版になって手に入りにくかったので、ここに収録できてうれしい。基本、これを押さえてくれれば日本のイスラーム論は180度変わって、すっきり見えてくるんですが、日本の価値観に基づいた巨大な「バカの壁」があって、集団でイスラーム教を理解できない方にもっていってしまっているんです。ずっと言ってきたので、現実に生じてくる事実と照らし合わせて、「ああ、そうだったのか」と納得いくようになっている人も増えているようです。でもまだまだです。

あとエルサレム論も。これはお勧め。スタジオジブリの雑誌『熱風』に載せたものを文章を整えました。

井筒俊彦論も2篇入っています。

新しく加えた8篇によって、決定版となりました。これ以上は増やしません。

次は何をやろう。

すでにその次の本も印刷が進んではいますが、この本を踏まえた新たな船出です。


編集部より:この記事は、池内恵氏のFacebook投稿 2016年4月29日の記事を転載させていただきました。転載を快諾された池内氏に御礼申し上げます。