ロボットに仕事を奪われる49%の日本人がやるべきこと

内藤 忍

「10年後になくなる仕事」というのが、以前話題になりました。野村総合研究所が、昨年12月に発表した研究成果によれば、10年から20年後に、今、日本で働いている人の約半数(49%)の職業が、機械や人工知能によって代替することが可能だとしています。

その報告書には、代替できる確率が高い235の仕事がリストアップされています。例えば、このような仕事です。

一般(医療)事務
駅務員
会計監査係員
学校事務員
給食調理人
行政事務員
銀行窓口係
金属研磨工
警備員
自動車組立工
自動車塗装工
スーパー店員
測量士
タクシー運転者
宅配便配達員
電気通信技術者
電子部品製造工
道路パトロール隊員
ビル施設管理技術者
ホテル客室係
レジ係
路線バス運転者

これらの仕事には、国内で現在約2500万人が働いています。労働人口の49%を占めているのです。

センサー技術の進歩や自動運転、ビッグデータの活用といった、テクノロジーの進化によって機械が取って替わることにできる仕事は、将来無くなる可能性が高いということになります。一方で、無くならないと予想されている仕事もあります。

アナウンサー
インテリアコーディネーター
映画カメラマン・映画監督
エコノミスト
音楽教室講師
学芸員
学校カウンセラー
観光バスガイド
クラシック演奏家
グラフィックデザイナー
経営コンサルタント
ゲームクリエーター
外科医、産婦人科医、歯科医
広告ディレクター
コピーライター
作詞家・作曲家
俳優
はり師・きゅう師
美容師
ミュージシャン
レストラン支配人

といった仕事です。無くならない仕事の共通点は、機械化しにくいことです。新しい価値を生み出すクリエイティブな仕事だったり、他の人間との交渉や協調をしながらやっていくような仕事はロボットは苦手です。だから代替されにくいのです。

私が社会人になった時には、インターネットはまだ普及していませんでした。楽天もフェイスブックも、グーグルもアマゾンもまだ存在していなかったはずです。携帯電話も無く、スマートフォンも当然ありませんでした。しかし、今ではそんな30年前に存在しなかった新しいビジネスエリアで仕事をしている人が、高い価値を世の中に提供しています。

だから、今ある仕事が将来残るか無くなるか悩むよりも、今存在しない仕事が将来のメジャーな仕事になる可能性について考える方が有益ではないかと思います。例え49%の仕事が無くなったとしても、未来には今存在しないたくさんの仕事が生まれている可能性が高いということです。現状の延長線上で将来を予想しても、あまり意味はありません。

この調査結果が教えてくれることは、未来の仕事予測ではありません。変化に対応して自分を柔軟に変えていける力を常に蓄えること、そして現状にしがみつき変化を拒むのではなく、新しいチャレンジを積極的にやっていける勇気を持つことこそ、これからの産業構造の激変に必要だということです。

(焼き鳥を焼く仕事は果たして10年後になくなっているのでしょうか?)

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年5月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。