2016年4月の電気自動車販売台数速報値
米国の電気自動車に関する情報ポータルサイトInsideEVによれば、今米国でプラグインハイブリッド車(PHV)の売れ行きが加速しています。
以下は、米国市場での EV+PHVの販売台数の推移です。2011年から14年までの3年間で6倍以上に増えたのですが、2015年には恐らく原油価格下落の影響で減少に転じました。
しかし、2016年に入ってから4月まで、PHVで最高を記録した一昨年を1-2割上回るペースで増加しています。
では、ガソリン車も含めた、全体の車販売におけるPHVの比率はというと、ほぼ1%です。EVを含めた2014年時点でのシェアは1.6%なので、2016年にはEVとPHVで3%に接近する可能性があります。これはGMシボレーやフォード、それにBMWやメルセデスといった有力メーカーがPHVに本腰をいれたことによると思われます。
さらに世界で40万台の予約が入ったとされているテスラのモデルSが上乗せされれば、2018年にはシェア5%も視野にはいります。
ところで、残念ながら日本企業はこの波に乗れていません。2016年4月には米国GMのシボレーボルトが1,983台、フォードFUSION ENERGIも1,331台と過去最高記録を更新、日産リーフを787台を売り上げを落とし、BMW i3の814台に鼻の差でかわされました。秋に新車の出るトヨタプリウスPHVはわずかに4台です。
イノベーター理論
皆さんイノベーター理論をご存知でしょうか。スタンフォード大学の社会学者であるエベレット・M・ロジャースが1962年に『Diffusion of Innovations』提唱した、イノベーションの普及に関する理論で、商品購入への態度により、社会を構成するメンバーを以下の5つのグループへと分類しました。
EV・PHVの導火線が発火
このイノベーター理論に倣えば、既に2016年4月の足下には、購買層が「変わり者のイノベーター」から、「「オピニオンリーダー」となって他のメンバーに大きな影響力を発揮するアーリーアダプター」に移行していると考えていいでしょう。
もし本当にテスラのモデル3が2018年までに40万台普及すれば、アーリーアダプターのかなりの部分を取り込み、GMやシボレー、日産・ホンダ、BMW・メルセデス・AppleにGoogle、現代に中国を巻き込んで34.0%のアーリーマジョリテイにまで手が届くことになるでしょう。
さらに、拙稿「BMW「もう車は売らない!? サービスを売る。」で述べたように、車を買えないレイトマジョリティには自動運転付きの分単位でのレンタカーモデルを用意して囲い込みの準備を進めています。もはや2018年米国で電気自動車が爆発的普及を遂げる可能性はかなり高くなったといってもいいでしょう。