あっという間に悪徳コンサルタントを見分ける方法

尾藤 克之

コンサルタントと聞いてどのようなイメージを抱くだろうか。コンサルタントと聞くとあまり良い印象をもってもらえないことがある。脱税や金銭がらみ事件にはコンサルタントやコンサルタント会社が絡んでいることが多いからだ。

コンサルタントは特定分野の専門家である。しかしその仕事に対する印象は千差万別だろう。意地の悪い人は次のように揶揄する。「そんなに専門性が高いなら自分の商売はさぞかし儲かるはずだ」「コンサルタントって偉そうにしているだけ」。確かにそんな人も多い。

●コンサルタントのアプローチ方法

コンサルタントは経営者の知り合いが多い。また経営者もコンサルタント好きが多い。どのような機会で親しくなるのだろうか。経験上、異業種交流会や紹介で知り合った経営者と懇意になることは少ないように思う。

例えば、あなたがA社から新規事業開発の業委託を請け負ったとする。期間は3ヵ月。月額フィーは30万円としよう。期間を延長し条件をアップするには3ヵ月で一定の成果を出さなくてはいけない。

このような場合、コンサルタントは例外なくトップ営業を敢行する。元々のネットワークに経営者クラスの知り合いがいるならそこにアプローチをする。知り合いがいないなら、トップに対して営業活動をはじめる。

アウトバウンド(荷電)を利用すればそれなりにアポ件数は獲得できる。初回訪問時に目的は明瞭に伝えなくてはいけない。新規事業の可能性や事業提携によるメリットを提供するのである。仮に成約しなくても(成約しないのがほとんどだが)、魅力的な提案であれば相手の記憶にインプットされる可能性が高い。

優秀なコンサルタントはこのような経営者のネットワークを独自で構築している。「紹介のほうが早いのではないか」と考える方も多いだろう。それも一理あるが、紹介者との利害が発生するので注意が必要である。

●トラブルが多いコンサルタント契約

コンサルタントは成果が見えにくい場合が多い。よってトラブルも多い。最も多いのが契約途中における解除である。双方の関係性が良好であれば契約書などなくても履行される。しかし、いざトラブルに移行すると契約書の有無はもはや意味をなさない。

相談で多いのが、「期待すべき成果を出していないので解除したい」というものだ。「期待すべき成果を出していないので解除したい」という受託側のアウトプットの質に対して問題が生じる場合がある。このとき明確な契約の不履行がないため、契約を解消するのが困難な場合は多い。

このような場合、受託側の業務に不満を持ちながらも、契約期間の満了まで委託料の支払を強いられるおそれがある。そこで、契約期間中であっても、契約を解消出来る内容を以下のように盛り込んでおくべきである。

第●条(有効期間)
甲は、第●項の規定に関わらず、●ヶ月前までに乙に対して書面により通知することにより、本契約を解約することが出来る。

しかし、コンサルタントの多くは、途中解約条項を外しているケースが少なくない。これは途中解約リスクを排除するためである。委託側にも定例会議などで速やかに成果物を確認する必要性がある。数ヶ月前の成果物に対して難癖をつけても速やかな確認とはいえない。

またコンサルタントは顧客にとって専門性をカバーすることから委任契約を提示されることが少なくない。委任契約とは役員ポストのことである。報酬は金員以外にも、株式や役員ポスト、出資による新会社設立など様々な形態が存在する。細かい条件面などは事前に明文化したほうが得策だろう。

●悪徳コンサルタントを見分ける方法

コンサルタントに景気は関係ない。むしろ、市場環境が厳しくなるほど隙につけこんだ輩が暗躍するものだ。見分けるキーワードがいくつか存在するので紹介しておきたい。「一点突破と集中」「差別化ニッチ戦略」の2つである。

<良くあるコンサルタントと顧客の会話>

--勝負のポイントは一点突破による集中戦略です。

顧客:で、具体的になにをすれば良いのでしょうか。

--自社の強みを一点絞ることで競合に対抗するのです。ランチェスター経営といわれているものですが弱者が強者に勝つための戦略です。一点突破によって商圏を拡大し最終的にマーケットを制するといえば分かりやすいでしょう。

顧客:で、具体的になにをすれば良いのでしょうか。

--まずは商圏と時期を決めてそこに戦力を集中させてください。敵を分断し優先順位をつけて撃破していきます。

顧客:で、具体的になにをすれば良いのでしょうか。

--展開方法が中途半端だと負けてしまいます。集中的に一点突破をするのです。大手に真っ向勝負をしても負けてしまいます。直接の勝負を避けることから商機を見出すのです。これを差別化ニッチ戦略といいます。

顧客:で、具体的になにをすれば良いのでしょうか。

笑い話ではなくこのようなケースは少なくない。専門的なキーワードを使用すると議論がそれっぽく見えることがある。このような時には議論をするのではなく、具体的に数字を提示させたらよいだろう。数字を具体的に明示できないプロジェクトは間違いなく失敗する。また、数字にコミットできないコンサルタントも論外である。

●尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト/経営コンサルタント。議員秘書、コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ)『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など多数。
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