破壊的なイノベーションをもたらす社会変革とはどのような条件の下でおきるのでしょうか。産業革命やIT革命を振り返れば、まず
- 破壊的イノベーションを生む新しい技術が発明されて、それが商用化されるまで汎用化の兆しが見え
- 体制・政府がそれを後押しして
- 市民の多数派がその革新を前向きに受け入れる
この産業界、政府、市民の3ステークホルダーそれぞれの強いコミットメントが必要十分条件ですね。
今、欧米のIT企業と自動車メーカーが中心となって、IoT・シェア経済の下での新しい社会のパラダイム「自動運転・電気自動車・カーシェア・マイクログリッド」の4点セットを浸透させようという動きが活発化しています。
全ての端末がインターネットに繋がっていくのがIoTですが、なかなか上述の3要件を揃えるのが難しく、特に「端末」を見つけて、「インターネットに繋げることで生まれる付加価値」を訴求できるモデルがなかなか生まれません。
そこで「自動車」を端末として、これをインターネットに繋げることで価値を提供しようと言うモデルが、まずは突破口として考え出されているのです。
「これから起こりそうなことは、電気自動車の生産がより容易になることだと私は考える」。こう語るのはローレンス・バーンズ氏だ。最近までコロンビア大でサステイナブル・モビリティー(持続可能な形での移動手段)に関する研究を指揮していたほか、ミシガン大学教授(専門はエンジニアリング実務)も務めた。バーンズ氏は1998年から2009年まで、GM副社長として研究開発部門を統括した。現在は米グーグルや米保険大手オールステートといった企業に自動車など移動手段の変容についてアドバイスしている。
「2025年以降は軽量の自動車を設計する際、電気自動車や燃料電池車が最善の方法となるだろう」。バーンズ氏は今晩、シカゴ大ブースビジネススクールでこう話した。「気候変動や原油依存といったいろんな理由を脇においても、これが自動車を生産するのにより良いやり方。ただそれだけだ」
こうした民間企業の動きを政府も後押ししています。
オランダでは2025年にハイブリッドを含むガソリン車が販売禁止になり、カリフォルニはでも同様の法案が検討されています。
FarrellsとWSP | Parsons Brinckerhoffというイギリスの2つの建築・プランニング・エンジニアリング事務所が行なった「MAKING BETTER PLACES: Autonomous vehicles and future(良い場所を作ろう:自動運転車と未来の機会)」という名の研究発表では、自動運転車がいかに我々の生活を物理的に、社会的に、そして経済的に改善するかについて探求しています。
出典:「MAKING BETTER PLACES: Autonomous vehicles and future
この事務所がビジュアルにその未来の姿を提案しています。産業界、政府、市民社会の3ステークホルダーが目線を合わせて本気を出した時に確実に世界は変わっていきます。特に欧州の市民は「環境原理主義」ともいえる頑固さを持ち合わせているので、その実現性は高いと思われます。
「御上の指導に市民が従う」「産業界は顧客とのインターアクションをする間もなく、日夜モノ作りに励む」「エネルギー源に関しては、イデオロギー的な両極端な言説に市民が分断される」日本においては、政府と産業界と市民が一体となってムーブメントをおこすのが苦手ではあります。
しかし、繰り返し申し上げているように、日本ほど、この「革命」の諸条件が揃っている国はありません。ただし、市民社会が自身が求めるもを自覚できていないのです。なぜなら、欧米と違って日本では「シェア」経済はもう空気のような存在だからです。欧米に取ってはフルモデルチェンジですが、日本にとってはマイナーチェンジなのです
是非、欧米に負けないよう、市民の信条ではなく感情(エモーション)に訴える形で、産官学が第四次産業革命の条件整備をすすめ、市民のボトムアップな変革を促していただきたいと思います。
私も出来る限りのことはするつもりです。