全国津々浦々に広がるコンビニエンスストアは、もはや日本人の日常生活になくてはならない生活インフラになっています。コンビニの市場規模はスリランカの経済規模を超えていて、全国に約5万5000店舗あり、ひと月の利用者は約15億人、1店舗当たりの1日の平均来店客数は1000人、日本人は月に平均11回コンビニを利用するそうです。
ちょうど一年前に報道ステーションに、朝日新聞編集委員の稲垣えみ子氏が出演され、朝日新聞が掲載した氏のコラム「アンプラグド 冷蔵庫が導く仏の境地」について冷蔵庫に頼らない生活の魅力と発見を語られました。 氏に限らず最近ミニマリストと呼ばれる人々が注目を浴びています。
しかしそういう人ほど、近所のコンビニエンスストアを多用され、家の冷蔵庫代わりにされています。ミニマリストは自宅にスマホがあって、近所にコンビニがあれば生活は完結してしまうのでしょう。コンビニに行けば、食料品だけでなく、コピー、ATM、宅配、公共料金支払い、コンサートチケット入手なんでも用は足ります。まさに開いててよかった街のほっとステーションですね。
稲垣氏のテレビ出演後、ネット界隈では、その生活のあり方についての賛否で盛り上がりました。いちいち食料品を都度調達ほうがむしろ非効率的だという声を多くありました。私も、面白いケーススタディとして興味深く眺めていましたが、社会全体としては、案外、そういう暮らし方は効率性が高まり、「ありなんじゃないか」と思うのです。
もちろん、コンビニに関しては、廃棄物の問題や、本部によるFCの締めつけ、オーナーの長時間労働地獄など問題はありそういう問題はきちんと解決する必要があります。
しかし、コンビニは物流システムを考えたとき、究極のクラウドシステムで、各家庭の家電製品を集約して、省エネにも繋がるし、冷蔵庫の中でムダな食料品を腐らせる必要もありません。
さらに、特にこれからのスマート社会(電気自動車・シェアリング・マイクログリッド・自動化・無人化)の拠点になっていくと思うのです。郊外店では、駐車場で電気自動車を充電したり、旅客や物流の拠点となったり、警察・救急・役場の民営化に寄与したりすると思うのです。
コンビニは元々アメリカ由来ですが、そのOSを一から作り上げたのは日本です。このような、スマート社会のインフラを有している唯一の国である日本は、IoT革命とシェア経済がもたらす、第四次産業革命で絶対的な優位性を持っています。
今、日本のコンビニシステムは積極的にアジアに展開されていますが、アジアにおけるスペックの低さには驚かされます。私は先日北京の中心街、日本でいうところの大手町に宿泊しました。宿泊先の近所にローソンの看板があったので、午後6時に小腹が空いたので初めて立ち寄ってみました。中国初ローソンです。すると、中はしっかりした店舗で明かりもついていたのですが、透明な見慣れたガラスドアの入り口に鍵がかかっていました。よく見るとなにやら走り書きの張り紙が張ってあって、「ちょっと1時間外出するので店を閉めます」。恐るべきし中国。ショックを受けてホテルに帰ってまいりました。
スマート社会を成り立たせる基盤インフラは信頼性です。信頼性を支えるのはマニュアルとそれを遵守する人です。もし人の几帳面さとか遵法性が担保されなければ危なくて、機械や自動運転に身を委ねることはできません。途上国の航空会社を利用したくないのと一緒です。日本のコンビニシステムは、「人」によって支えられているのだなとつくづく思いました。
中国・上海の街中で日系のコンビニエンスストアのローソン(LAWSON、羅森)やファミリーマート(FamilyMart、全家)をどこでも見かけるようになった。これまで中国では飲料やお菓子だけを販売する売店のようなコンビニから、弁当や温かい肉まん・おでん(中国語では関東煮)などを販売する日本型のコンビニが中国の大都市を中心に広がっている。
1996年に上海へ進出したローソンは中国全土に564店舗(2015年7月末)を展開している。いっぽう、ローソンより10年ほど遅れて中国市場に参入したファミリーマート(ファミマ)は2015年2月時点で1,306店舗を展開しており、ローソンより2倍以上の店舗数となっている。
日本で最大の店舗数をもつセブンイレブンは、中国で2,101店舗(2015年6月末)と公表されているが、圧倒的なシェアを持つ香港の店舗数(2009年2月時点で905店舗)を差し引くと、中国本土では1,000店舗前後を展開していると思われる。