新興国の都会は、日本の田舎より豊かになった

新興国に行っていつも感じることは、日本とは対照的な成長のエネルギーです。喧騒の街は、雑然としていて落ち着きはありませんが、未来への希望に満ちた明るい雰囲気を実感します。

それに加え、最近では新興国の都会は、今や日本よりも実質的には豊かな生活になっているのではないかと思うことさえあります。ベトナムは、日本と比べると1人あたりGDPは20分の1くらいですが、ホーチミンだけを見ると、正確な数字はわかりませんが、その差は4分の1くらいのイメージだと思います。つまり、日本の田舎よりも新興国の都会は、経済的に豊かになっている可能性があるのです。

1人あたりGDPといった数字上の比較だけではなく、ライフスタイルからも豊かさは際立ちます。中心部のドンコイ通りにはルイヴィトン、ボッテガベネタといったブランドショップが立ち並び、スターバックスだけではなく地元のコーヒーショップが香り高いベトナムコーヒーを提供しています。

飲食店も日本食はさすがに日本よりは劣るでしょうが、各国の料理が味わえて、ベトナム料理であれば価格は極めてリーズナブルです。ワインやウィスキーは割高ですが、ビールは日本の半値以下で、値段を気にしないで注文することができます。

日本の地方都市に行って、これと同じ環境を手に入れることができるでしょうか?

しかも、今後ベトナムはさらに成長を続けることが予想され、日本の地方都市は高齢化や人口減少で衰退していく可能性が高いのです。逆転されたら、その差は広がる一方です。

これはホーチミンだけの現象ではありません。マニラでもバンコクでもクアラルンプールでも、人々の生活が急激に豊かになって、高度消費社会が実現していることがわかります。アジアの新興国の都会は、既に日本の田舎より豊かになったということです。

もちろん、日本のような整ったインフラや、環境に配慮した清潔な設備などは、遅れている部分もあります。しかし、新興国に行く度に、行き先の国が大きく変化をして発展しているのに、帰国した日本は成熟しているせいか、何も変わっていないと感じてしまうのです。

「未来はきっと今日より素晴らしい日になる」という明るい未来を信じながら、日々豊かになっていく新興国の人たちと、豊かに生活しているにも関わらず、「未来は今から不安で一杯」と悲観的に生きている日本人。

新興国のスタディツアーは、人間の幸せとは何かについても深く考える機会を提供してくれます。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年6月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。