【映画評】エンド・オブ・キングダム

渡 まち子
テロリストに占拠されたホワイトハウスの奪還劇から2年。シークレットサービスのマイクは、謎の死を遂げたイギリス首相の葬儀に出席する米大統領ベンジャミンの護衛でロンドンを訪れる。しかし世界中の首脳が葬儀に訪れたロンドンで大規模なテロ事件が発生。歴史的建物が崩壊し、首脳たちが次々に犠牲になる中、マイクとベンジャミン大統領は命からがら脱出することに成功。二人は世界を混乱から救おうと立ち上がるが…。

ホワイトハウスがテロリストに占拠される危機を描いた大ヒット作「エンド・オブ・ホワイトハウス」の続編「エンド・オブ・キングダム」は、ロンドンを舞台に、アラブの武器商人から狙われた西欧諸国の危機を描く。回りくどいドラマはいっさい排除し、いきなりド派手なサスペンス・アクションに突入、あとはクライマックスまでまっしぐら!という潔い演出がいかにもハリウッドだ。タフガイのシークレット・サービスのマイクが超人レベルで活躍するのは言うまでもないが、続編の本作では大統領とのバディ・ムービーの色合いが濃く、ベンジャミン大統領の活躍の場も増えている。

ロンドンの観光名所を容赦なく破壊し、各国の首脳の運命をステレオタイプで描き分け(渋滞に巻き込まれるだけの日本の総理にトホホ…)、テロリスト相手に「おまえらが何度攻撃しようと、アメリカは安泰だっ!」と、あつくるしいタンカを切る。それでいいのか?!とのツッコミはもちろんなしだ。ただ、単純な大味ブチ壊しムービーというわけではなく、夜間の路上での銃撃戦をワンカット長回しで撮影するなど、随所にこだわりの演出が見られ、緊張感を盛り上げてくれる。強すぎるマイクを演じる1969年生まれのジェラルド・バトラーの頑張りには脱帽だ。原題の「ロンドン橋落ちたぁ~♪」ののんきなムードが笑えるのは、伊勢志摩サミットが無事に終了したから。これぞハリウッド式エンタメ・アクションである。
【65点】
(原題「LONDON HAS FALLEN」)
(英・米・ブルガリア/ババク・ナジャフィ監督/ジェラルド・バトラー、アーロン・エッカート、モーガン・フリーマン、他)
(孤軍奮闘度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年6月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。