今年1月に亡くなられた恩師・澤昭裕先生が書かれた『精神論ぬきの電力入門 (新潮新書)
「精神論ぬきの電力入門 (新潮新書)
現在の日本の発電の供給量割合は、
●LNG、石炭、石油などの化石燃料が9割弱
●大規模水力発電が1割弱
●太陽光、風力などの新エネルギーが3%程度
という状況。
ほとんどを化石燃料に依存しています。
化石燃料は、中長期的には、
●需要と供給バランスの中での価格の高騰リスク
●為替リスク
●安全上のリスク
など様々なリスクがあります。しかもこれらのリスクは日本の努力だけでは、どうにもならない可能性があります。一生懸命に自動車を輸出しても、化石燃料の費用が高騰すると、すぐに貿易大赤字になってしまいます。
危機的な事態を迎える前から、安定電源として様々な選択肢を持つことが極めて重要です。それは、平時においても資源国との交渉力を高めることになります。
そうした観点から注目されているのが新エネルギーですが、太陽光発電や風力発電には致命的な弱点があります。安定しないこと。太陽光は日中晴れているとき、風力は適度に風が吹いているときしか稼働しません。太陽光の稼働率は概ね15%、風力は概ね20%と言われています。これでは仮に供給量が増えても(これ以上増やすのは、いろいろな意味で無理がありますが)化石燃料の代わりはできません。
だからこそ、バイオマス発電が重要になってきます。バイオマスは木材チップや家畜糞尿が供給されている限り安定して発電することができます。
ところが、ほとんどの日本の木質バイオマス発電は、地元の間伐材などだけでは賄うことができず、韓国や中国などから原木を輸入して日々稼働しているのが実情です。それでは、為替リスクなど化石燃料と同じようなリスクがあり、本質的な課題解決にはなりません。
また、自然エネルギーには、太陽光・風力やバイオマスの他、潮力や洋上風力などの方法も考えられますが、海の上というのはまだまだ技術的な課題や安全上の問題が多いと聞いています。
そう考えると、国内で実現可能な自然安定エネルギーは、当面は、家畜糞尿を由来にしたメタン発酵バイオガス発電が主力になるわけです。TPPを見据え、畜産の規模の拡大・経営の強化が不可欠ですが、そのためには糞尿の適切な処理が欠かせません。
本日(6月18日(土)の日経新聞九州版トップに「長島町に地域エネで新会社」という記事が掲載されました。「メタン発酵バイオガス発電」は、長島大陸の地方創生の今年1番の課題。引き続き全力で取り組んでいきたいです。微力ながら、日本のエネルギー安全保障にも貢献していきたいです。
<もっと知りたい!>
●追悼・澤昭裕先生(僕が官僚になるきっかけを与えてくれた恩師)
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68506110.html
●ゴミだって町の宝。町のど真ん中にごみ処理施設!(福岡県大木町)
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68513236.html
●なぜ、今バイオマスなのか?
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68505418.html
●バイオマス「失敗」しないために大切なこととは
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68462178.html
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<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>
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「公私一致」という働き方
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68507744.html
編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年6月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。