参議院選挙って何が争点なの?

池田 信夫

22日に参議院選挙が公示され、7月10日の投票にむけて選挙戦が始まりました。よい子のみなさんにはまだ選挙権がありませんが、今度の選挙から18歳になったら投票できるようになりました。しかしいったい何を基準に候補者を選ぶんでしょうか?


NHKの世論調査(2016年5月)
まず安倍首相の熱心な憲法改正はどうでしょうか。これを国会で発議するには衆参両院の2/3以上が必要です。衆議院は自民党と公明党で2/3あるので、参議院もあと15議席ぐらいふやせば(改正に賛成している党も含めて)2/3になりますが、改選は半数なので、無理でしょう。

国会で発議しても、国民投票で過半数が賛成しないと改正できないのですが、これはもっと無理です。上のNHKの世論調査では「改正が必要だ」という意見は一貫して少数派で、特に安倍内閣になってから大きくへっています。どこのメディアの世論調査でも傾向は同じで、特に第9条は「改正反対」が圧倒的多数です。

つまり与党が衆参両院で2/3をとったとしても、国民投票で否決されるので、憲法改正は無理なのです。今の憲法にはいろいろ問題があり、改正したい安倍さんの気持ちもわかりますが、現状では憲法改正を争点にするのは無理でしょう。「解釈改憲」で少しずつやっていくしかありません。

憲法よりみなさんの生活にかかわるのは、税金です。安倍首相は「2017年4月には必ず10%に上げる」といっていた消費税率を「新しい判断」で2年半も延期しました。これは彼も「公約違反だ」と認めているので、野党としては絶好のチャンスのはずでした。

ところが野党4党は、安倍さんより先に増税を延期する法案を出しているので、この問題はまったく争点になりません。もともとこの増税は民主党政権が決めたので、民進党も公約違反なのですが、あやまらないのは安倍さんより厚かましいですね。

要するに憲法も消費税も、争点にはならないのですが、本当は大事な争点があるのです。増税を延期するということは、今お年寄りの使う年金を将来のみなさんが払うということです。野田前首相のように「私は社会保障を充実・安定させ、財政健全化を実現するためには、国民に土下座してでも予定通りに消費税を10%に引き上げるべきだと思います。それしか日本と若者を救う途はありません」という野党があってもいいのではないでしょうか?

ところが民進党は逆に、高齢化した共産党や労働組合と一緒になって、自民党より老人の味方です。それは今度の選挙で負けないためにはしょうがないのかもしれませんが、政治から有権者の選択肢をうばい、日本から民主主義がなくなってしまうのではないでしょうか?

民主主義を立て直すには、野党にしっかりしてもらうしかありません。今年のアゴラの夏合宿では「民主主義を立て直す!」と題して、次の民進党のリーダーとされる細野豪志さんに、田原総一朗さんがこうした路線転換について迫ります。みなさんも細野さんに意見をいってください。