スタンフォード大学との共同事業「IT政策研究会」。慶應義塾大学 三田キャンパスにて。
孫泰蔵さんにお越しいただきました。年間GDPの0.2%の投資=ベンチャー投資が10年後のGDPの21%を生んでいる。IPO数で日本は中国・米国に次いで3位。孫さんはそう指摘します。日本にもチャンスありますよね。
10年後の未来を見据えて規制緩和する「フラッグシップタウン」を設計するという孫泰蔵さんの話が刺激的でした。さまざまな規制緩和を一挙に詰め込む町を作るというもの。
小腹がすいたから枝豆を注文するとアマゾンがドローンで運んでくる。
有機ELを壁や道路に印刷する。
半永久的にドローンが飛び続ける。
みな技術的には実現できます。しかし日本では規制が壁になります。
それ、全部実現しましょうよ。デジタル特区CiPと一緒にやりましょう。
本気で進めると、刺されます。でも、ぼくと孫さんの二人が刺されて死ぬ程度で実現するなら安いもんじゃないですか!
日本にシリコンバレーを作るには。孫さんは、「小さい生態系から森を作っていく」と言います。そうですね、CiPもまずは小さくとも回るシステムを作りたい。研究→教育→起業支援→研究。
ただそれは、起業して、IPOなどのエグジットを経て、その人が再起業したり投資家になったりして、それがグルグルと回っていくという時間軸も必要です。そこまで育て上げる、という覚悟が要ります。
カリフォルニアでできることを東京でもできるようにするため、竹芝の一部を「カリフォルニア州」に借りてもらって治外法権にする、というアイディアはどうでしょう?CiP「出島」構想。
スタンフォード大学 櫛田健児さんにも伺いました。
オラクルに勤める友人が起業し、成功したその会社をオラクルが買って再入社し、また起業し、また買ってもらい、という繰り返しの話。それは社員に起業させ、成功したら処遇する、というオラクルの戦略ですよね。日本も新人起業家の発掘より、大企業のこうした挑戦を促すのが効率的かもしれません。
櫛田さんは、シリコンバレーにも「作れない」という弱みがあると言います。ハードウェアエンジニアが不足していて、外注に頼らざるを得ない。ITがIoTにシフトし、モノの重要性が高まると、日本にもチャンスが広がるということですよね。
櫛田さんは最近シリコンバレーで「Japan is coming back」と話しているそうです。そう思いたい。元気を出しましょう。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2016年6月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。