エコノミスト、大学研究者、ジャーナリストの言葉は分析ではなく大衆への侮辱ばかり
英国国民投票や共和党予備選挙に際し、「インテリ」からEU離脱派・トランプ支持者は数え切れないほどの侮辱の言葉を浴びせられてきました。そして、それらの侮辱は国民投票で離脱派勝利・予備選挙でトランプ勝利に終わった現在も続いており、依然としてメディア各紙の紙面に新規に掲載され続けています。
インテリは「大衆」を「低所得・低学歴のポピュリズムに毒された人々」と定義して、勿体ぶった表現を駆使して社会分析に見せかけた大衆への罵倒・侮辱を楽しんでいます。
インテリに罵倒の限りを尽くされた低所得・低学歴とされた大衆は、反論する言葉を持たず、反論する媒体を持っていません。必然的に言論空間はインテリにとって大衆への容赦のない罵倒の言葉を吐き続けることが可能な安全圏となっています。
安全圏からの大衆への容赦のない罵倒は「インテリによる大衆への言論的なリンチ」(インテリンチ:筆者が作った完全な造語ですが・・・。)であり、絶対に反論できない対象をいたぶる虐待行為のようなものです。
「インテリンチ」は逆効果、インテリと大衆の断絶は決定的なものに
インテリは快適な執務室や研究室から実際の生産活動に従事している大衆を小馬鹿にし、離脱派・トランプ支持者を「嘘に騙された・金が無い・頭が悪い」と述べるだけで仕事になりました。(ちなみに筆者は片方が一方的にデマを述べており、もう片方が全て正しいことを述べていると思うほど政治的に初心な思考は持っていません。)
大衆の知性に対する罵倒行為である「インテリンチ」は、インテリを自称する人々による低所得・低学歴者への人権侵害行為であり、これらの無配慮なリンチに曝された人々が投票行動という言葉を用いない手段でインテリどもに一矢報いたことは当然のことでしょう。大衆はインテリに対して自らの尊厳を守る行動を行っただけです。
ちなみに、当然のことですが、トランプ支持者や離脱派の中にも高所得・高学歴・高リテラシーの人達は存在しています。しかし、彼らに原稿執筆の機会は与えられず、その機会が与えられたとしてもポピュリズムを煽る扇動者という評価がインテリンチによって同時に与えられることは明白でした。
したがって、インテリンチを良しとしない知識人も、その知識があるがゆえに声を上げることはありませんでした。その結果として、言論空間に表層的に現われる評論は「インテリンチ」しかなくなり、それを真に受けた「インテリ仲間」がひたすら「インテリンチ」を増幅させてきました。
「インテリンチ」はまさに弱いものを虐める学校のイジメのような構造を持っています。腕力の代わりに言語表現力と媒体紙面を持つインテリが言論的な弱者を寄って集って言葉で暴力を振るっているわけです。 彼らの言葉が大衆に届くわけがありません、それらは政治的な体裁を整えただけのただの人権侵害行為なのだから。
深刻な問題は「大衆の無知」ではなく「インテリの言論のレベルの低さ」にある
現実に民主主義的な手続きを経て下された結論は「インテリンチ」による虐待で悦に浸った「インテリ」の望みとは違うものとなりました。
そして、実際には思考停止した不毛な文章を生産し続けたインテリの知的劣化こそが問題なのです。インテリたちはそもそも政治的・社会的エリートとして、様々な言論発信を通じて大衆の意見を代弁してきました。いや、どちらかというと代弁するフリを続けてきたと言っても良いでしょう。
しかし、現在の彼らの姿はどうでしょうか。インテリたちは大衆への自らの言論の押しつけすら放棄し、大衆を罵倒するだけの無様な存在になり下がりました。それは彼らが社会を描く能力と意志を元々持っていなかったor失ったことの証左です。
トランプ現象・英国EU離脱派は陳腐化したインテリの知性に対する大衆の知性の反逆であり、インテリによる大衆への私刑の場と化した言論空間への拒否反応です。
インテリを自称するor自覚している勘違いしたエリートは「インテリンチ」への参加は程々にして、未来の姿を描く言葉を身に付けるためにもう一度大衆の中に入ってみたらどうでしょうか。なぜなら、インテリの無知による言論レベルの低さこそが問われるべき真の問題だからです。
本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。
渡瀬裕哉(ワタセユウヤ)
早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員
東京茶会(Tokyo Tea Party)事務局長、一般社団法人Japan Conservative Union 理事
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