(共同記者会見でファーストクラスのシートの角度について熱弁する増田氏)
増田寛也氏「ファーストクラス使いながら、他人の使用は批判」続報・提供
前回のエントリー「増田寛也氏『ファーストクラス使いながら、他人の使用は批判』」はネット上で大きな反響を頂きました。しかし、同時に「お前の記事は虚構だから取り下げろ」「この記事の信ぴょう性が疑わしい」などのネガティブな声が筆者に対して寄せられたことも事実です。
しかし、2016年7月13日日本記者クラブ主催の共同記者会見で、一人の勇気ある記者の方が増田寛也氏に対して「岩手県知事時代のファーストクラス利用」について問いただしたことで、増田氏本人の口から改めて言質を取る形で調査内容の正しさが証明されることになりました。
ご興味がある方は上記の前回エントリーもご覧いただき、増田氏の言動の矛盾点および都議会自民党の推薦方針への疑問などを共有していただければと思います。
岩手県知事時代のファーストクラス使用を認めるも「反省の弁」は一切無し
今回の共同記者会見では、宇都宮・小池・鳥越・増田4氏が自らの政見及び政治姿勢について熱弁を振るいました。その中でTBS NEWS23の記者が増田寛也氏に対して政治とカネの文脈から岩手県知事時代のファーストクラス使用について問いただしました。
<増田>
「岩手県知事時代にファーストクラスを利用しておりました。最近の航空機事情ではビジネスクラスでも横になれるようになりましたが、私が利用していた当時はファーストクラスでも斜めぐらいにまでしかなりませんでした。常にどのような利用方法をしているかを公開します。シートの状況が良くなってきたので、公職にある人でもビジネスクラスで対応できるのではないか。」
なお、増田寛也氏は上記の回答に続けて「当選した場合にはビジネスクラスを使いたい」とニヤケ顔で回答されていました。そして、「税金の使い方について都民の皆様に分かる仕組み、情報公開の仕組みをきちんと作りたい」と続けられています。
岩手県庁の借金を約2倍にしながらファーストクラスの豪華海外出張を恥じ入ることなく、ファーストクラスのシートの角度について熱弁する姿は筆者の軟な想像力を軽く上回るものでした。
今回の東京都知事選挙が行われる元凶は、舛添都知事のファーストクラスを用いた豪華海外出張と週末の湯河原通いなどの「都知事として不適切な仕事ぶり」が都議会で追及されたことにあります。
そして、読者の皆様に思い出してほしいのですが、舛添・前知事「湯河原通い」の理由は、
「たまたま湯河原のお風呂は足を伸ばせるのです、広いですから」(2016年4月28日定例記者会見)
というものでした。この際、舛添・前知事の場合はユニットバスを利用した場合、人工関節の利用者には不便があるため、という理由が伴っていました。つまり、公用車で通うか否かは別として、身体の健康管理の面という意味では一定の理屈が立つものでした。
しかし、上記の通り増田寛也氏はファーストクラスの利用理由について、「シートが横にならなかったから」ということのみを述べており、自らが膨大な金額を積み上げた岩手県の借金を尻目に、岩手県知事自身はファーストクラスで「快適な」海外視察を続けていたことになります。
当初、舛添・前知事も「ファーストクラスの利用理由」は「到着後、すぐに仕事をするのに備え、完璧に寝て体調を整えるためだった」と述べていました。しかし、結局は舛添・前知事は都議会において「節減意識が足りなかった」と弁明させられており、彼には東京都知事という重責を担うに値しないという判断が下されることになりました。
筆者は、東京都という潤沢な資金を持つ自治体の長ですら節減意識を問われて辞職している状況で、その辞職に伴う選挙で岩手県の財政を赤字の底に突き落としながらファーストクラスを利用していた人物を推薦する都議会自民党の胆力には驚きを禁じえません。
増田氏が岩手県知事時代のファーストクラスの利用について何ら反省の弁を述べなかったように、都議会自民党は自らが推薦する候補者の身体検査(少なくとも過去のトラックレコード)の不十分さを何も反省していなかったということでしょう。
東京都知事選挙の事実上の争点は「信頼できる人間性」を有しているのか
筆者は「ファーストクラスに乗っていたか否か」ということ自体は、全体予算の中における金額から決定的に重要な問題ではないものと考えています。
しかし、一連の経緯に鑑み、今回の東京都知事選挙では「都民が納めた税金に対する姿勢」や「政治家としての言動の一致」などの「都民との信頼関係」を築いていける人物かということが問われていることは明白です。
東京都知事選挙に関して、与野党の極めて適当な候補者推薦の有様は目を疑うばかりであり、都政に関わる方々には政治姿勢を根本的に改めて頂くとともに、我々都民も東京都政などの地方自治についてもう少し関心を持って臨むべきだと痛感しています。
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