前回まで「この人こそ都政にふさわしい」等と煽っていた社民、共産までが、あっさりと宇都宮さんをポイ捨てし、民進と相乗りで、76歳で健康、都政の見識それぞれの不安がつきまとう鳥越さんを担ぎ出したりするあたり、結局調子のいい時だけ持ち上げているだけなんだな、とも感じます。
一方、小池女史は、参院選投票締切直後に自民党本部に現れて都連に「推薦願取り下げ」なんて絵を作ったりしております。率直に言って、推薦願なんてわざわざ取り下げなくてもよかったわけで、報道陣がたくさん待機しているところを見計らったような行動を見ていますと、増田さんの言葉を借りずとも「劇場化」への舵を強く切りすぎている感じもします。
ただ、小池女史が強引でも露出のヤマ場を集中的に作り出しているのは、現在の選挙報道事情が要因とみられます。「テレビ選挙」といえる都知事選であっても、選挙戦がスタートしてしまうと、テレビは放送法の政治的公平の縛りがきついので主要候補間の露出は平等化。大手新聞は論評の範囲はテレビより緩いものの、新聞協会綱領で“公正”を建前としている以上、露出のバランスには平時より気をつかいます。
というわけで、選挙に出る側からみれば、テレビ、一般紙の露出をアテにせずに戦うことを基本戦略にせざるを得ないわけですが、一方で、スポーツ紙や週刊誌は露出のバランスは「面白ネタありき」で、ほとんど気を遣わないので、逆に言えば、ユニークな活動を見せて、取り上げられるように仕掛けていく企画力が肝になってくるわけです。
都知事選連載の第3回でも書きましたが、青島幸男さんは、まさにその構造を早くから見抜いて自らの知名度・発信力をフル活用した草分けでした。さらに現在は、ネットも使えるようになりましたので、スポーツ紙のウェブニュースが拡散することで期間中の露出を高める希少な方法となります。
そして、主要候補以外にも、かつての家入さんのようなアバンギャルドな仕掛けをしてくる陣営が現れるのかどうか。個人的には参院選で三宅陣営がLINEを駆使したように、クローズドなSNSの活用が進み、固定電話の情勢調査では把握できない層が終盤動いて、あとでビックリみたいな現象が起きるのかにも注目しております。
一方で、ネットはなんでもありの世界。まあ、例によって誹謗中傷からネガティブキャンペーンまで、いろいろと盛り上がっていくのでしょうが、有権者同士のいざこざはともかく、少なくともオフィシャルな陣営関係者、政党、特定候補を応援する有識者の方におかれましては、建設的な論戦をしっかりやっていただきたいと思います。
《追伸》ところで、毎度のごとく独自の戦いをされる候補者たちのオモシロ政見放送がございますが、定番のマックさんの新ネタ、新規参入の上杉さんはもちろんのこと、今回は、「NHKから国民を守る党」の代表を務める方が、古巣の渋谷でどのような様子で収録をしたのか、どんなパフォーマンスを見せるのか、新たな“傑作”ができるかもしれませんね(笑)ではでは。
【特集リンク】日本一早かった都知事選連載
https://agora-web.jp/archives/2019780.html
(関連記事)