「40歳、資産ゼロ」から老後破綻を回避する方法は?

9月に発売する予定の新刊の原稿を作っています。今回は新書判で、40代以上の方を対象にした資産運用の書籍になります。

20代から30年以上、自分自身で投資を行い、「人体実験」をした経験から導き出した自分なりの結論は、仕事をしているビジネスパーソンのような、忙しくてお金のことにあまり時間を割くことができない人の資産運用には、究極的には2つの方法しか選択肢はないということです。

1つは、低コストの金融資産を組み合わせて、インデックス運用を行い、長期的なキャピタルゲイン(値上り益)から資産を増やす「コツコツ投資」です。これは既に多くの書籍が出版され、私も「はじめての人のための資産運用ガイド」という本を昨年出版し、具体的な方法を初心者向けに書いています。

もう1つの方法は、「お金を借りる力」を持っている人が、不動産投資で資産を作っていく「チャリンチャリン投資」です。ローンの返済を家賃で行い、返済が終われば家賃収入が毎月のインカムとして定期的に入ってくることになります。

20代、30代の若年層は、どちらの投資方法で資産形成しても良いと思いますが、40代を超えてシニア層に近づいてくると、前者のキャピタルゲインよりも、後者のインカムゲインを狙った投資方法にシフトすべきというのが私の考えです。

しかし、多くの人は「不動産投資はお金持ちがやること」「借入をして投資する不動産投資は危険」という先入観を持っていて、始めるハードルが高くなっているのが現実です。もちろん、誰でもお金が借りられる訳ではありませんし、投資ですからリスクも存在します。しかし、リタイア後のお金について、知識不足のまま、何も対策を取らないで時間が過ぎてしまい、手遅れになってしまうのは避けなければいけません。最近良く聞く「老後破綻」の原因の1つは、資産運用によるリタイア前の準備不足にあると思っています。

もし、40歳で資産をまったく保有していない人がいたとして、60歳までに不動産で資産形成するには、具体的どんな方法があるのか。そんな、シニアに近い世代の資産運用経験の無い初心者向けに「チャリンチャリン投資」にフォーカスした書籍を作ってみたいと思うようになりました。

リタイア後のシニアが受け取る年金の平均は15万円。余裕ある生活に必要なのは約35万円と、20万円のギャップがあります。毎月20万円のキャッシュフローを将来作れるように準備することが、お金の不安を解消するために最低限必要です。ローン残債の無い家賃が8万円から9万円のワンルームマンションを3戸持てば、諸経費を差し引いても毎月20万円以上の安定した収益を手に入れられます。

8月に開催する「A氏とY氏の会」(お昼の部夜の部の2回開催予定)でも、新刊の内容をベースに具体的なお話をする予定です。

原稿の進捗と共に毎回悩ましいのが、書籍のタイトルです。「老後の楽園生活を実現する「チャリンチャリン投資術」(仮)」としていますが、どうもしっくり来ません。原稿の修正よりも、こちらに時間をかけることになりそうです。

※毎週金曜日に配信している「資産デザイン研究所メール」。資産を守り増やすためのヒントから、具体的な投資のアイディア、そしてグルメな情報まで、メールアドレスを登録するだけで無料でお届けします。

※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年7月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。