【映画評】ONE PIECE FILM GOLD

渡 まち子
海賊王を目指して新世界を旅するルフィと麦わらの一味の仲間たちは、世界最大のエンターテインメントシティである政府公認の独立国家、グラン・テゾーロを訪れる。有名な海賊たちや大富豪が集まるその華麗な様子に圧倒されるルフィたちだったが、そこは世界政府すら手を出すことのできない“絶対聖域”だった。そんなグラン・テゾーロをばく大な金の力で支配し、世界政府をも操るのが黄金帝ギルド・テゾーロ。彼は、底知れぬ野望を抱き、新世界の勢力図を塗り替えようとしていた…。

 

大人気アニメシリーズ「ONE PIECE」の劇場版第13弾「ONE PIECE FILM GOLD」。黄金の独立国家グラン・テゾーロの支配者ギルド・テゾーロの陰謀にルフィたち麦わらの一味が立ち向かう。おなじみのメンバーが繰り広げる冒険と戦いが描かれるが、今回はカジノが舞台ということもあって、どこか「オーシャンズ11」シリーズを連想させる。ワンピースシリーズはいつもオープニングには並々ならぬこだわりを見せてくれるが、今回はなんと12分にも及ぶ華麗なショーが用意され、音と映像のコラボが圧巻だ。ストーリー的には、謎の歌姫カリーナとナミの意外な関係が物語のカギとなる。金を操るゴルゴルの実の超能力を駆使し、非情なルールでグラン・テゾーロを支配する巨悪に対し、ルフィたちが立ち向かう理由は、真の自由を守るためだ。

ただ、本作、映像は華麗なのだが、キャラが多すぎて、少々もたついているのが惜しい。バトルシーンも前作「Z」に比べてちょっと物足りなく感じてしまう。それでも、主題歌にロックユニット「GLIM SPANKY」を抜擢するなど、エンタテインメントとしてはシリーズ屈指だ。それにしても、大人のファンも多いとはいえ、ファミリー映画のONE PIECEがついに2時間超え!ますます長尺になっていくのでは…とちょっと心配ではある。

【55点】
(原題「ONE PIECE FILM GOLD」)
(日本/宮元宏彰監督/(声)田中真弓、岡村明美、、他)
(華麗度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年7月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。