夢を追い求めていますか?

岡本 裕明

SMAPが解散するそうです。40代ぐらいの女性には衝撃的事実なのかもしれません。考えてみればかつてピンクレディやキャンディーズの解散も大きな話題となりました。何故解散するのか、それは各々の成長のベクトルが違う上に向かっている目標がグループ活動をしながら少しずつ軌道修正されていくからではないでしょうか?音楽から司会やドラマなどで活躍しメンバーの個性はそれぞれの適性を生み出します。だからこそ、世界で一つだけの花を咲かせたともいえます。言い換えれば解散するに至ったのはSMAPのメンバーの成長そのものでしょう。私もカラオケで彼らの歌をかつてはよく歌わせてもらい、親しみ一杯です。ですが、この解散は彼らにとって第二の人生を送る花道でもあると信じています。

私が幼少のころ、何になりたいのか、とよく聞かれた記憶があります。親のみならず、親せき、友人、学校の先生、近所の人などいろいろな人から尋ねられ、その度に答えが変化していったように思えます。電車の運転手、パイロットあたりからはじまって天文学者とかロケット飛行士なんていうのもありました。高校ぐらいになると一時、競輪選手になりたいと思ったこともあります。その後、海外で活躍したいと思い、大学に入って外交官になりたいと真剣にチャレンジもしました。

こう考えてみれば人の夢なんて全然一定していないのですがその理由は周りからの刺激だったと思います。あの頃はすべてにおいて可能性があり、自分がどんな道にでも進めるチャンスはありました。つまり自分がどれだけ様々なものに出会い、見聞きをし、影響を受けるかがキーだったと思います。

その後、会社に入社した時のオリエンテーションで人事部が新入社員を全員集めて会社でどんな仕事とどのポジションまで行きたいか、と各々に発表させた際、私は社長と答えたのですが、百数十人の新入社員で社長と答えたのはたしか私を含め3人ぐらいしかいなかったと思います。

この頃から社会が夢と現実の挟間を感じさせるようになってきた気がします。多くの同期は偉くなる意味がない、責任を取りたくない、自分の時間や家庭とのバランスをその理由にするようになってきました。それはそれで一つの価値観です。しかしその価値観が残りの人生ずっと変わらず、というのは腑に落ちません。

私は自分の人生を双六に例えています。サイコロ振って6が出れば一気に進むけれどそこには落とし穴があり、10歩後退なんていうこともあるでしょう。三歩前進二歩後退の人生の中で双六のゴールを目指しています。但し、ポイントは双六ゲームは一度にあらず、であります。私はすでに2巡も3巡もしたと思っています。でもまた新たに挑戦して次の双六をやっています。SMAPのメンバーも双六二巡目をこれから楽しむのでしょう。

人生の夢はいくつになってもあります。そして達成できたらどんどん新しい夢に変わっていきます。私がバンクーバーで熱意をもってあたってきたのが一人でも多くの日本人の若者を国際人に育てたい、でありました。これはもう15年近くやっていると思います。最近は老いゆく日系社会の新陳代謝を考えています。これもどうにかしなくてはいけません。

実はビジネスとして最もやりたいのが日本の商店街の再生。これは何十年来の夢であります。なぜ商店街かといえば近所づきあいを通じたコミュニケーション、それが人の交流を作り上げるインフラになりうるからです。こう見ると私の夢の視点が変わってきていることに気がつきます。昔はMEが主眼の夢でした。それが会社という組織をまとめたい、その次に自分の周りの社会をもっとよくしたいという夢に変わってきています。

年齢を増すと自分の世界に籠る方が多いと思います。人生頑張ってきたんだからゆっくりしよう、というわけです。例えばそば打ちを始める男性は多いのですが、なぜそば打ちなのか、自分でうまいそばを食べたいからなのか、友人にうまいそばを食わせてあげたいからなのか、この目的の違いは大事だと思います。

北米と日本での人生は私の場合大体半分半分。日本はまだまだMEの視線が強い気がします。北米で私は違う夢の色をずいぶん勉強させてもらったと思います。感謝、感謝です。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、みられる日本人 8月14日付より