生ハムを食べながら再認識した「ネーミングの重要性」

情報が過剰に溢れる社会になって、ネーミングの重要性は極めて高くなっていると思います。名前から受ける第一印象だけで、中身を勝手に判断する人が増えることになるからです。

先日出かけたお店で、美味しいイチジクと生ハムを頂きました(写真)。メニュには写真はありませんから、名前だけから判断して注文するしかありません。

「生ハムの盛り合わせ」だけだったら、ありふれた一皿だと思って、注文しなかったかもしれません。しかし、もし「フワフワにスライスしたパルマ産生ハム フレッシュないちじく添え」というメニュだったらどうでしょうか。美味しそうなイメージが膨らんで、注文する人が増えることでしょう。

あまり過剰に説明が付いたメニュは逆に宣伝色が強くなりすぎて、警戒してしまいます。でも、逆に素っ気ない名前でリストに掲載されていて、本当はとても魅力的なのに埋もれてしまっている勿体ないケースも多いはずです。

ネーミングの重要性は、書籍のタイトルでも同じです。以前、ベストセラー「さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 」の著者山田真哉さんから「タイトル2年、執筆1年」と聞いたことがありますが、本文と同じくらいあるいはそれ以上にタイトルの決定は重要と言えます。

9月10日に発売する新刊のタイトルは「60歳から毎月20万円入る術」に決まりました。

「チャリンチャリン投資術」などいくつかの候補があったのですが(アドバイスもたくさん頂きました)、最終的にマーケティングのプロである出版社の決定に従うことにしました。

数年前に出版した「60歳までに1億円つくる術」が長期・分散・インデックス・低コスト・積立をコンセプトにした「コツコツ投資」をテーマにしたも ので、20代、30代の資産形成層を主なターゲットにした書籍でした。今回は資産を既にある程度保有している人も対象に、主に40代以上のシニアとシニア予備軍を読者層に想定しています。

タイトルは初速の売れ行きに影響する重要な要素ですが、ロングセラーになるためには、タイトルだけでなく中身が伴わないと続きません。自分が自ら実践してきた資産運用の具体的な方法を丁寧に解説したつもりですが、読者の方にどのように評価されるのか。新刊が出版される前のこの時期は、いつも楽しみと 不安が一緒になった微妙な気分で過ごしています。

メニュにしろ、書籍のタイトルにしろ、会社名にしろ、サービスの名称にしろ、ネーミングを間違えるとせっかく良いものであっても過小評価されてしまう危険性があります。だから、今まで以上に時間と手間をかけて戦略的にネーミングを考えていくことが重要になるのです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年8月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。