米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が26日、ジャクソン・ホール会合に登壇します。
2015年は出席を見送りを経て、講演は2014年に続き2回目。ジャクソン・ホール会合と言えば、グリーンスパン元FRB議長やバーナンキFRB前議長が金融政策の重要な示唆を与えた舞台として知られるだけに、今回も全世界の金融市場関係者が耳を傾けることでしょう。
ダドリーNY連銀総裁をはじめタカ派発言が聞かれるなか、ウォール・ストリートが予想するイエレンFRB議長の講演内容はいうと・・ズバリ無風。CNBCが行ったFedサーベイでは、エコノミストやトレーダー、ファンドマネージャーなどの回答者のうち「中立」と回答した割合は50%を超えてきました。「タカ派」を危惧する声は、24%に過ぎません。
タカ派予想が少ないだけに、次回利上げ予想の中央値も後ろ倒しされました。追加利上げの時期は前回7月時点の12月から2017年1月へ変更されています。最後の利上げは、2018年10〜12月期に実施されるとの予想で変わらず。ただしFF金利の着地点は2.29%と前回の2.42%から下方修正され、米連邦公開市場委員会(FOMC)長期見通しから乖離を広げました。
次回の利上げ時期に加え、バランスシートの縮小開始のタイミングも先送りしています。
(出所:CNBC)
成長率は前回から下方修正してきました。2016年は1.8%増、2017年は2.2%増となりこちらもFOMC予想から乖離をみせます。
成長予想とは対照的にS&P500予想は2016年が2200、2017年は2275と前回から引き上げました。米10年債利回りは2016年が1.75%、2017年は2.26%と低水準が続く見通しです。
こうしたウォール・ストリートのハト派寄り見解を根底から覆すのか。フィッシャーFRB副議長が講演で雇用と物価をめぐり「目標に近づいている」と発言した半面、ほとんど労働生産性について割いていた事情を踏まえると、イエレン議長がわざわざタカ派寄りに傾く可能性は低いと言えるでしょう。2014年にFRB議長としてデビューを飾った当時も、抜群のバランス感覚を発揮して中立寄りでしたしね。
(カバー写真:Ralph Combs/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年8月24日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。