今週のメルマガの前半部の紹介です。
先日、政府および経団連内で“プレミアムフライデー”なるものが計画されているとのニュースが話題となりました。「月末の金曜日だけ15時に退社を促し、消費の活性化を促す」のが狙いだそうです。
15時って言ったらまだまだまっ昼間、時間も体力も有り余っている時間です。そういう時間に開放してもらえたらとても有意義な週末を過ごせるはずだと期待している人も多いようですね。
ただ、「タダより高いものはない」という言葉もあるように、筆者はこの手のトップダウン式の労働者向けおせっかい政策はろくでもないオチにしかならないと考えています。というわけで、今回はプレミアムフライデーに待ち受けるオチと、本当のプレミアムの作り方をまとめてみたいと思います。
想像するだけでも恐ろしいプレミアムフライデーの現実
みんな揃って15時にお開きになると、たぶん高確率でこういう流れになると思われます。
偉い人「ようし、じゃあ今日はボーリング大会やって、その後で盛大に飲み会やるかぁ!!」
社員「えいえいおー!」
で、中にはさらに一歩進める会社も出てくるはず。
偉い人「ようし、じゃあ一泊二日の社員旅行で温泉でも行くかあ!」
社員「え、えいえいおー!」
で、さらにさらに先を行く会社もあるでしょう。
偉い人「一泊してもまだ土曜なんだから、土曜の午後はバーベキュー大会でもやるかあ!なんなら有志はもう一泊してもいいぞ、もちろんお前ら参加するよな?」
社員「え、えいえいおー(棒読み)」
え?そんなもん宴会部長以外はやりたくないって?何言ってんですか。本プランはそもそも全体の消費押し上げが狙いなんで、末端労働者の都合なんて関係ないんですよ。早く帰らせてやっても家でゴロゴロされたり部屋に引きこもってゲームされたら意味無いんですよ。とにかく職場や部屋から引きずり出して金使わせるのが政府の目的なんですから。
で、そういう空気読んで先手を打って本プランを実現しようとしている経団連が手ぶらで帰すわけないじゃないですか。飲み会でも社員旅行でもバーべキュー大会でも何でもいいからイベント企画して従業員の財布から金を引っ張り出す懇親を深めるようにというお達しが管理職に出されるはずです。
「でも強制参加じゃないんでしょう?」なんて思ってる人も甘いですね。有給休暇すら満足に消化できない日本人が、職場の一大イベントをさぼれるわけないじゃないですか。ちらちら横を気にしつつ、わー楽しいなー最高だなーという顔をしながらフル参加せざるを得ないに決まってます。
もちろん、金曜15時に退社するためには準備も必要です。おそらく木曜日は翌日を“プレミアム”にするために全員一丸となって残業に励むことになるはず。とっとと切り上げて早めに帰ろうとしようものなら「せっかくみんなで明日からの温泉旅行+バーベキュー大会のために頑張ってるのに、おまえはみんなの想いを踏みにじる気か!」なんて体育会系のノリで説教されることでしょう。
という具合に、要はお国のために、みんなで少しずつお金と時間を差し出しましょうというのが“プレミアムフライデー”なるものの本質なわけです。まあ「同僚は仲間だ、いや家族みたいなもんだ」とか「休日も上司や同僚と家族ぐるみの付き合いをしたい」とか思ってる人ならいいんじゃないですかね。そんな人、会ったことないですけど。
ちなみに筆者は、プレミアムな体験をいつするか、そしてそもそも何がプレミアムなのかはあくまでも個人が決めるべきであって、政策としてはそうした自由度を高めるようなものに限定すべきだというスタンスなので、こういうトップダウン式のおせっかい政策には反対ですね。要は、有休も満足に消化できてない、労働時間も長い現状でこれ以上余計なもん作るなよということです。
以降、
何がゴールデンで何がプレミアムか、ぜんぶお上が決める社会
筆者がおススメするプレミアムフライデーの作り方
編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2016年8月25日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった城氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。