東北フィールドワークで思い出した「ノブレス・オブリージュ」という言葉

丸の内朝大学マネーコミュニケーションクラス2016夏のフィールドワークで東北に来ています。今回でもう8回目という東北の旅ですが、何回行っても尽きない魅力に溢れています。

企画を重ねる毎に、宿泊場所の選定や食事のクオリティなどを少しずつ改善しています。毎回史上最高と言えるような内容で受講者の皆さまに楽しく充実した2日間にしてもらうためです。今回もスタッフとクラス委員のサポートで、素晴らしい2日間になりそうです。

1日目で参加者に大きなインパクトがあったのが八木澤商店の河野会長の講演だと思います。毎年夏学期のフィールドワークでお邪魔して、今回で3回目 になります。八木澤商店は、味噌や醤油、そしてそこから派生する加工食品を作っている創業200年を超える老舗会社。SHINOBY`S BAR 銀座でステーキに使っている「奇跡の醤(ひしお)」も八木澤商店さんの代表的商品です。

東日本大震災の時、津波の被害で全ての工場や社屋を流され、トラック2台しか残らず全てを失いました。にも関わらず、パートさんを含め従業員全員の 雇用を守り、さらに内定していた新入社員2名まで雇用する決断をしたことで全国的に注目されました。その時の陣頭指揮を執っていたのが河野会長(当時社 長)です。

2時間の講演の中にはたくさんの名言がありました。

「震災によってモノとカネは失ったけど、人とのつながりという最高の財産を得ることができた」と語る河野会長。わずか数時間で会社のほとんどを失う という、修羅場で腹をくくって、リーダーとして前を向き続けて、自分たちのやるべきことを続けてきたこと。それが多くの人に感銘を与え、お客様や応援する 人から、たくさんの支持を得て、人とのつながりの中から会社を再び立ち上げ、生き残ることができました。

「過去と他人は変えられないが、自分が変われば未来は変わる」という言葉もありました。既に起こってしまった悲しい出来事を後悔しても仕方ない。他 の人が言っていることに腹を立てても何も変わらない。それよりも今日からの自分が変わることで、未来を前向きに考えることができるというポジティブ思考で す。

笑いあり涙ありの素晴らしい講演。河野会長のお人柄と地域に対する深い愛情を感じる最高のお話を聞かせて頂きました。

お話を伺いながら「ノブレス・オブリージュ」という言葉を思い出しました。社会的地位や経済的に高い地位にある高貴な人には、それに伴う義務がある という意味です。老舗企業の経営者で地域のリーダーとして自分のやるべきことをやり遂げる。簡単なようでなかなか出来ないことだと思います。

資産運用によって自分に必要なお金を手に入れた人は、「ノブレス・オブリージュ」という視点から、次に何をすべきか。お金を増やす方法だけではな く、自分が持っているお金をどうやって有意義に活用するかも、講義に盛り込んではどうか。丸の内朝大学マネーコミュニケーションクラスのこれからやるべき 方向性も少し見えた貴重な時間でもありました。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年9月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。