(世界中の水素・燃料電池関係者と藤沢市の世界唯一の水素料理店「リベロ」での懇談)
2013年「FCV(燃料電池自動車)を中心とした水素エネルギー社会実現を促進する研究会」を小池百合子代議士(現 東京都知事)と立ち上げた時は、水素エネルギーに対する関心は自民党内においても、政府においても、世の中においても、高いものではありませんでした。今では、研究会に自民党議員150人が所属し、水素は国家のエネルギー政策の一部をなしています。そして、安倍総理も水素エネルギーについては、様々な場で発信を繰り返しています。
日本のエネルギー政策は、エネルギー政策基本法 という法律が出発点になっています。その中で、政府は、エネルギー基本計画をつくることが義務づけられ、3年に1度見直すことになっています。エネルギー基本計画は2014年に改定されましたが、その際に水素エネルギー社会を具体的に推し進めるための方向性を定めると同時に、ロードマップ作成を基本計画に入れ込むことを求めたのです。FCV議連では、企業や研究者からのヒアリング、議員間での議論を経て、「水素社会を実現するための施策別目標とあるべき姿(「FCVteigensho.pptx」をダウンロード)」という提言書を作成し、政府に提言したのです。
この提言書がもととなり、政府の水素・燃料電池戦略ロードマップ がつくられました。内容については、概略版 をみてもらうとわかりやすいと思います。フェーズを3つに分けて、いつまでに何をやるのかを具体的に示しています。ロードマップがあることによって、企業も投資するタイミングを計ることが出来るし、過去にあったような一過性の水素ブームにならないということを証明してもいます。ロードマップを1日でも早く実現し、水素社会が経済合理性に則った上で、実走させたいと思っています。
水素社会実現は、節目としてのポイントを置いています。2015年「水素元年」、2020年「水素オリンピック」、2025年「水素インフラ輸出」、2030年「水素発電・CO2フリー水素」というものです。特に2020年の東京オリンピックは、水素社会のショーケースとして、日本の水素関連設備、商品を世界に伝えていきたいと考えています。東京オリンピックを振り替えれば、水素社会の入り口だったと歴史が証明するようになれたらと思っています。
舛添要一前東京都知事が「東京オリンピックを水素オリンピックに」と語っていた背景は、FCV議盟が、都知事選挙戦の最中に要望書「masuzoe2014.docx」をダウンロードを手渡したことから始まっているのです。正に小池百合子都知事が、申し入れをした張本人であるが故に、本人が都知事になった以上、水素オリンピックは更に密度の濃いものとなることは、間違いありません。FCV議連は、既に「東京水素オリンピック提案書「tokyo_olympic_plan.pptx」をダウンロード」も作成していますが、改めて小池百合子都知事に、新たなバージョンの提案書を渡したいと考えています。
国際社会に目を転じれば、地球温暖化を抑制するために二酸化炭素の排出量を引き下げることが、緊急的な課題となっています。昨年、パリで行われていたCOP21では、正に、削減目標を作成する事が求められたのです。途上国は、技術提供を先進国に求め、国内経済をしぼませることなく、二酸化炭素を削減したいと申し出ていたのです。地球環境対策に協力する事こそ、正に日本の国際貢献であり、安倍総理はパリでの演説で、水素技術を更に進化させて、途上国に技術を提供すると宣言したのです。水素エネルギーを、二酸化炭素削減に貢献するエネルギーとして、世界に広げていきたいと考えています。
また、東日本大震災の残された課題として、福島の再生復興があります。福島県は、原発事故による風評被害も残り、主要産業である農業も再興できず、被災者が地元に帰れないという状況下にあります。エネルギーで壊れてしまった街をエネルギーで再生させていこうという「福島新エネ社会構想」(概略版)を安倍総理が打ち出しました。特に福島県をCO2フリー水素の生産拠点にして、2020年東京オリンピックには、FCV自動車1万台分を福島県産の水素エネルギーで賄うというものです。大規模水素製造施設(1万KW級)の整備、水素の輸送・貯蔵技術の実証、CO2フリー水素タウンのモデル等を実現していくことになります。もちろん、東京都との連携協定も結ばれています。
次世代に何が残せるのか?政治家としての使命です。僕の6歳の娘が20歳になる時に、太陽と水からCO2フリー水素がつくられ、それをFCVに使い排気ガスを出さない移動手段が充実し、それを燃料電池や水素発電に使い電気がつくられる。そんな、地球環境に優しい国にしたい。たまたま化石燃料が、有るか無いかで、国の貧富の差が生じたり、エネルギー確保の為の争いが生じたりする世界を変えたい。水素エネルギーが何処でもつくれる、何処でも使えるようになれば、世界の平和に貢献することになるのです。
水素社会の実現は、国内に留まる事ではなく、広く世界につなげていくことを念頭に行動する必要があるのです。水素社会実現のためなら世界中を飛び回ります。
編集部より;この記事は衆議院議員、福田峰之氏(前内閣府大臣補佐官)のブログ 2016年9月17日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、ふくだ峰之の活動日記をご覧ください。