「仕事が出来る人」の2つのパターン

「仕事の出来る人」というのは大きく分けて2つのタイプがいるようです。「ゼロから1を生み出せる人」と「1を100まで成長させられる人」。それぞれに求められる能力が違うと思います。

「ゼロから1を生み出せる人」とは、世の中に無かったものをクリエイト(創造)する起業家タイプの人です。何も無い状態から、事業の構想を立て、仲 間を集めて、会社を立ち上げ、ビジネスとして収入が入るところまで持っていく。新しい生命が誕生するように、新しいビジネスを誕生させられる人は、間違えなく仕事の出来る人です。

ビジネススクールから日本に帰国した20代後半から30代半ばにかけて、グロービスの堀さん、楽天の三木谷さん、マネックスの松本さんといった起業家たちの立ち上げ時に会う機会がありました。売上ゼロの時点で自らのビジョンを語り、パッションを持ってそれを実現していく姿勢には共通するものがありま した。周囲の人はドンキホーテのような荒唐無稽なアイディアと思っていることを実際に実現していく。人を惹きつけるカリスマ性があって、熱狂する仲間が集 まって事業が立ち上がっていくのです。

もう1つの仕事が出来る人のタイプは「1を100まで成長させられる人」です。起業家ではありませんが、既存の組織を成長させるのは得意という人です。ジョンソン・エンド・ジョンソンから2009年6月にカルビー株式会社に転じ、同社の急成長を実現した松本氏や、日経新聞に私の履歴書に連載中してい る吉野家ホールディングスの安部会長などは、その典型です。いわゆる「プロ経営者」と呼ばれる人たちもこのカテゴリーに入ります。

既に存在している組織のリーダーとして、意識変革を促し、会社をさらに高いレベルまで持ち上げていく。そこには、事業に対する洞察力だけではなく、 既存の経営資源を上手に活用する能力、他人をも自分の仲間にしてしまうコミュニケーション能力、会社の問題点を見抜いて改善の一手を打てる胆力など様々な能力が要求されます。

どちらも資本主義社会を変革し発展させていくとても重要な役割を担う人たちだと思いますが、自分が経営者として憧れるのはやはり前者です。何も無い ところに自分だけが新しい価値を生み出す方法を見つけ出す。それが例えとても小さなものであったとしても、その価値は無限大です。

2016年秋学期の丸の内朝大学マネークラスの ゲストの3人は全員ゼロから1を生み出した起業家です(写真は初回ゲスト講師の早川周作さん)。それぞれがなぜ事業を立ち上げたのか、その過程でどんな問 題や葛藤があったのか、そして今振り返って自分がやってきたことをどう思っているのかを聞いてみるつもりです。起業家を目指す人だけではなく、組織で仕事 をしている人にも、ゲストの仕事に対する熱い想いの中から得るものがたくさんあるはずです。

講義では、お金に働いてもらう方法も学びます。自分でお金を稼ぐ方法と両輪を学ぶ欲張りな内容。受講者の皆さんが、2017年からのお金との付き合い方に大きな変化を起こすきっかけにしたいというのが講師の野望です。

仕事とは単に収入を得る手段ではありません。将来振り返った時に自分の生きた証の1つになります。そんな仕事のそもそもの意義や自分がやるべき仕事についてじっくり考えてみる機会はなかなかありません。

私も資産デザイン研究所を立ち上げて4年になります。受講生と一緒に仕事とは何かを見つめ直し、そろそろ次のことを考えるきっかけにしたいと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年9月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。