この臨時国会の期間中に国会議員の皆さんは、何を成し遂げるのか

早川 忠孝

もう参議院選挙の余韻も東京都知事選挙の余韻も残っていない。

まだ民進党の代表選挙の余韻が残っているが、1カ月もすると皆さん来年1月の通常国会冒頭解散に備えて気もそぞろ、ということになるのだろう。

今日臨時国会が開会し、新任の閣僚がようやく国会で所信を披歴したり、答弁の席に就くことになる。
何人かの新任閣僚は答弁に詰まるような場面が来るのだと思うが、まず安倍改造内閣が窮地に追い込まれるようなことはないだろうと思っている。

多少安倍内閣の支持率が落ち込んできている、という世論調査もあるが、政権運営に不安を感じさせるような要素はどこにもない。

無理を押し通すようなことをしなければ、この臨時国会を無事乗り切って盤石の態勢で来年の衆議院の解散・総選挙に臨んでいけるのだろうと思っている。

補正予算の審議は、まず滞りなく進むはずである。

来年度の予算案の策定作業も順調に進んでいるようだ。
波乱含みなのはTPP問題だが、アメリカの大統領選挙の帰趨次第で日本としての方針の見直しが求められるようになるのかも知れないから、多分じっくり腰を落として対処しようということになる。

急ぐのは天皇の生前退位(譲位)制度の導入問題だが、国民の大多数がこれに賛同しているという状況を踏まえると、静かに議論していれば自ずから落ち着くところに落ち着く。
民進党の中ではこれを政治問題化しようとしているのかしら、と思うような動きがあるが、1カ月もするとそういう国民から反感を買いかねないような物言いをする国会議員はぐっと少なくなるはずだ。

有識者会議の皆さんが懐の深い議論をされれば、何とか早い結論を、と求めている大方の世論は有識者会議の示す方向性を支持するようになるだろうし、多分国会議員の皆さんもあえて議論を拡散するような方向には行かないはずである。

憲法審査会の会長に森英介元法務大臣が就任されたが、この臨時国会での憲法改正論議はあくまで憲法改正項目についての国民的合意形成のための足慣らしのようなもので、与党と野党で激しく対立するようなものにはならない。

本格的な論争や対決は来年の通常国会以降に回そうということで、私の目からすると、この臨時国会は一種の凪のようなものになる。

アメリカの大統領選や都政の動きについては多くの国民が固唾を呑んで見守っている観があるが、日本の国会については、皆さん大どころでは安心して見ているようである。

現職の皆さんは、次の衆議院選挙に何とかして勝ち残ることを考えて行動されるはずである。
国政に挑戦しようとされている新人の皆さんには、結構厳しそうだな、というのが現時点での私の感想である。

今の段階で新人の方々が挑戦し甲斐があるのは、来年の都議会議員選挙だろう。
まあ、余計なお世話だろうが。


早川 忠孝
弁護士・元衆議院議員
http://hayakawa-chuko.com/


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年9月26日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた早川氏に御礼申し上げます。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。