コンテンツを「有料」で提供するメリットはあるのか?

内藤 忍

文章だけではなく図表や動画など、自分が作成したコンテンツを無料・有料どちらでも選択して公開できるポータルサイト(写真)の運営会社から参加要請がありました。

従来、文章のようなコンテンツを作成してもそれをマネタイズ(お金に換える)する方法は、書籍の出版や雑誌の原稿くらいしかありませんでした。いくつかのメディアが、コンテンツをネット上で有料でも販売できる仕組みを提供し始めています。

私のところに提案があったサイトの他のサイトとの違いは、運営者が参加できる書き手を選んで、クオリティを維持しようとしていることです。各界の有 力な書き手を100名程度集めて、その人たちが自由にコンテンツを作成していくと説明されました。中には有名作家さんやノーベル賞を受賞した科学者、起業 家、経営者など魅力的な人たちが集められています。そのようなメンバーの1人としてお声かけ頂いたことは光栄なことです。

ブログやメールマガジンで書いているような数千字程度のコラムのような文章を、ネット上で有料で販売するメリットはどこにあるのでしょうか。書き手のメリットとして次のようなことが考えられます。

1.コンテンツの収益化
有料でコンテンツを販売すれば、収益になります。通常のこのようなサイトでは売り上げの半分程度が書き手の収入として入ってくるようです。ただし、200 円の記事を書いて、100人の人が購入したとしても、収入は10000円に過ぎません。数千人単位で購入する人が集められなければ、稼げる仕事としては成 り立ちにくいと思います。

2.自由に書ける場所の確保
ブログやメールマガジンはオープンな環境ですから、多くの読者を想定して書いていくことになります。例えば、私が書いているこのブログは毎日更新することと、字数を1000字から1500字にまとめて、多くの人に共感してもらえる情報を提供することを意識しています。

書籍の場合は、編集者によって原稿のチェックが入りますから、内容に関して制約がかかることがあります。有料コンテンツなら、お金を払って読みたい という人だけに、少ない制約で思ったことが自由に書ける可能性があります。しかも締切や字数制限がありませんから、自分のペースで執筆できます。

3.マニアックな読者へのアプローチ
専門的な内容や、一部の人にしか興味を持たれないマニアックな内容というのは、発表する場所が見つからないのが難点です。書籍化しようと思っても出版社が 売れないと判断すれば取り上げてもらえないし、まとまった文章や資料になるとブログで公開するには量が多すぎます。特定のテーマについて深く掘り下げたよ うなコンテンツには、有料販売という方法が向いているかもしれません。

まだ、実際にコンテンツを制作して販売を開始した訳ではありませんが、文章を書く人間として新しい可能性があるものには積極的に関わっていこうと 思っています。と言っても、資産デザイン研究所メールやブログは、これからも変わらず通り続けていきますので、こちらも引き続きよろしくお願いいたしま す。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年10月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。