【映画評】スタートレック BEYOND

渡 まち子

エンタープライズ号のキャプテン・カークは、未知の星に不時着した宇宙船を救出する任務に出発する。カークは、このミッションを最後にするという決断を胸に秘めていた。しかし、到着直前に、謎の異星人クラールが率いる無数の飛行物体から急襲を受け、エンタープライズ号は撃破、仲間は散り散りになってしまう。見知らぬ土地に投げ出されたカークは、離れ離れになったクルーたちを捜索する中で、ジェイラという女性戦士に出会う。彼女に案内された場所には、およそ100年前に消息を絶った艦隊の英雄エディソンが乗艦していたフランクリン号の姿があった。一方、クラールは、宇宙基地・ヨークタウンへの攻撃を開始しようと動きだしていた…。

エンタープライズ号クルーによる宇宙での戦いを描く人気SFアクションの最新作「スタートレック BEYOND」。長く人気を誇るSFシリーズは、J.J.エイブラムス監督によりリブートされ新たな魅力を放っているが、本作ではエイブラムスは製作にまわり、代わって、「ワイルド・スピード」シリーズのジャスティン・リン監督がメガホンを取っている。宇宙で敵と戦うというストーリーはいつも通りだが、今回は、クルーたちがバラバラになってしまうという非常事態だ。バラバラといっても、2人一組のような形で窮地を乗り切りながら、もう一度チームとしてまとまろうとする。この構成のおかげで、今回は一人一人のキャラクターの個性がはっきりと出ているのが嬉しい。意外な組み合わせでサバイバルする掛け合いがコミカルで、これまた楽しい。それまではカークとスポックが中心だったが、作り手が、チェコフ、ボーンズ、スコッティらクルーそれぞれをいかに大切に思っているかがわかる。そのため、エンタープライズ号クルーの個性と信頼関係がくっきりと浮かび上がった。謎の異星人クラールの正体とその目的には、大きな秘密が隠されている。

終盤のアクションはもちろん、未知の星での個性豊かなアクションシーンは見所。まさかSFの「スタトレ」でド迫力のバイクアクションを拝めるとは!仲間との絆と友情は「ワイスピ」にも共通するテーマで、ジャスティン・リン監督の“らしさ”が出た。急逝した若き演技派でチェコフ役のアントン・イェルチンの遺作となった本作、エンドロールでは「アントンに捧げる」との言葉が入り、物語のクルーたち同様、本作のキャスト、スタッフの絆も垣間見える。
【70点】
(原題「STAR TREK BEYOND」)
(アメリカ/ジャスティン・リン監督/クリス・パイン、ザカリー・クイント、ゾーイ・サルダナ、他)
(友情度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年10月21日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式Facebookより引用)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。